「地域によっては病床ひっ迫 医療体制確保に全力」経済再生相

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、西村経済再生担当大臣はNHKの「日曜討論」で、地域によっては病床がひっ迫するなど厳しい状況になっているとして、都道府県知事と情報を共有しながら、医療体制の確保に全力で取り組む考えを示しました。

この中で、西村経済再生担当大臣は「医療がひっ迫してきており、地域によっては、かなり厳しい状況になってきている。命を守るのが最優先なので、医療体制の確保に全力を挙げることが最優先だ。最大、確保する予定の病床に対し、どのくらい埋まっているか公表しているが、特に数字の高い都道府県の知事とは連日、実際の状況などを情報共有しながら連携して取り組んでいる」と述べました。
東京都の小池知事は「東京では現在、重症者用のベッドも含めて2640床確保しているが、これを3000床に増やすべく要請をしている。このうち重症者用は150床を200床に伸ばす。ベッド数と医療従事者の確保は重要だ。総額2308億円の都の補正予算案の中にも、年末年始の医療をきっちりと担当してもらいたいということで、医療関係で1300億円を盛り込んだ」と述べました。

また小池知事は、東京都外に住む人の検体が都内の民間の医療機関などに持ち込まれて新型コロナウイルスの陽性と判定され、都内の感染確認にカウントされるケースが相次いでいることについて、小池知事は「東京全体の傾向を分析するうえでこの数字は省いていかないといけない」と述べ、国に対応の検討を求めました。

そして、今後こうしたケースが増える可能性があると指摘したうえで「この新しい傾向にどう対応するか、新しい制度やシステムを作って頂きたい」と述べ、国に対応の検討を求めました。

このほか、小池知事は「東京オリンピック・パラリンピックを準備していて、これから海外の方が増えてくる。水際対策をどうするかがきわめて重要で、検疫という観点から国にしっかりやって頂きたい」と述べ、検疫の徹底を求めました。
大阪府の吉村知事は「大阪では、現時点で即日で使える重症用の病床が164床ということをすべて公表しているので、ひっ迫しているという共有はできている。ただ、医療資源には必ずかぎりがあり、いくら病床を確保しても感染が拡大すればどこかで満員になるので、できるだけ正確な情報を出して感染拡大をおさえたい」と述べました。
政府の分科会の尾身会長は「保健所もそうだが医療現場は悲鳴を上げている。まずは対症療法としてベッドの確保や財政的な支援、人の派遣などをやるべきだが、早く感染レベルを下げることに集中することが極めて重要だ。Go Toトラベルに社会の関心が集中しているが、Go Toを含めて人々の動きと接触を短期間で集中的に減らすことが、感染の沈静化には必須だ」と述べました。
日本医師会の中川会長は「政府や自治体の自粛要請の決定は警戒ステージに基づくが、その決定の中心となる病床占有率が、現場の実態と大きくずれている。医療従事者と行政のトップが違う絵を見て判断していれば手遅れになる。早め早めに手を打ってもらうためにも、正確な状況を冷静に把握して関係者が同じ危機感を共有するのが大事だ」と述べました。