探査機「はやぶさ2」のカプセル地球に帰還 現地チームが回収

日本の探査機「はやぶさ2」のカプセルが地球に帰還し、オーストラリアに入っているチームが着地したカプセルを回収しました。カプセルには小惑星の砂が入っているとみられていて、今後、飛行機で日本に運ばれることになっています。

探査機「はやぶさ2」のカプセルは日本時間の午前2時半前にオーストラリアの上空で長い尾を引いた流れ星のような火球として観測され、地球に帰還したことが確認されました。

神奈川県相模原市にあるJAXA=宇宙航空研究開発機構の管制室では、作業にあたる人たちがモニターに映し出されたオーストラリア上空の映像を食い入るように見つめ、火球が確認されると拍手をしてカプセルの帰還を喜び合っていました。
カプセルはパラシュートを開いてオーストラリア南部の砂漠地帯に着地し、現地に入っていたチームが回収したということです。そして、カプセルは現地に設けられた本部に輸送され、ガスの分析などが行われたあと、飛行機で日本に運ばれて専用の施設の中で開封されることになっています。

カプセルの中身は研究者に分配され、太陽系の成り立ちを調べる試料となるほか、水の成分や有機物の分析も行われることになっています。

JAXA カプセル回収時の画像を公開

JAXAはオーストラリアの砂漠地帯に着地したカプセルの画像を公開しました。

白いパラシュートが木に引っかかり、その画面に向かって右側に日本の探査機「はやぶさ2」の円盤状のカプセルがあります。
別の写真ではヘルメットをかぶった人がしゃがんでカプセルの状態を確認していて、すぐそばでJAXAの担当者は笑顔で作業を見守っています。
また、フェースシールドが付いたヘルメットをかぶった人がカプセルを持っている写真もあります。

オーストラリアの宇宙機関 カプセル回収直後 運搬する画像を公開

オーストラリアの宇宙機関は日本時間の6日午前9時すぎツイッターを更新し、日本の探査機「はやぶさ2」のカプセルをJAXAの担当者など5人が、専用の金属のケースに入れて持ち運んでいる画像を公開しました。

また、別のツイッターではカプセルを探すヘリコプターの動画を公開しています。
「はやぶさ2」の津田雄一プロジェクトマネージャは、JAXAが配信する番組の中で「本当によかったです。いまはリラックスして現地の回収班からの報告を受けています。美しい大気圏突入で、われわれも感動しています」と話していました。

6年間にわたっておよそ50億キロを飛行した小惑星「リュウグウ」の探査はこれで終わりましたが、「はやぶさ2」の本体は燃料が多く残っていることから、新たなミッションに向かっていて、別の小惑星に11年後に到着し、探査を行うことになっています。

カプセルの白い尾「分子が光を放つ現象」

「はやぶさ2」のカプセルが帰還したことについて国立天文台の縣秀彦普及室長は「とてもうれしいことです。はやぶさ2は初号機に続いて天文宇宙科学への関心が高まることに大きく貢献している。新型コロナウイルスの感染拡大など明るい話題が少ない中で夢や希望を与えてくれる貴重な存在だ」と話していました。

そして、カプセルが白い尾を引いていた理由について「流れ星と同じ原理で、周りの大気に含まれる分子が一時的にエネルギーが高くなることで光を放つ現象だ。流れ星と違ってカプセルが金属でつくられているため、火球の先端部分がはっきり見えた」と話しています。

「はやぶさ」初号機のプロジェクトマネージャ「完璧な完成度」

「はやぶさ」初号機のプロジェクトマネージャをつとめ「はやぶさ2」の立ち上げにも関わったJAXAの川口淳一郎シニアフェローは、「はやぶさ2」のカプセルが地球に帰還したことについて「初号機は本体がトラブルを抱え身動きできなかったので本体自らがカプセルとともに大気圏に再突入したが、2号機はカプセルだけを見事に再突入させた。初号機帰還の10年前と比べて、技術が向上した証しで完璧な完成度だった。無事に健康で戻ってきてくれてご苦労さまと心からねぎらいたい」と話していました。

また、はやぶさ2が確立したサンプルリターン技術について「今後、惑星との間を人が往来する未来が来るかもしれず、はやぶさ2で確立した月より遠い場所の往復の技術は今後の宇宙時代の新しいドアを開いたということだ。往復で宇宙を調べるというのは生命の探査や資源の利用などでは必須で、サンプルリターン技術は今後の大きな武器になると確信している」と力強く話していました。

一方、津田雄一プロジェクトマネージャをはじめ川口シニアフェローの研究室で学んだ研究者たちが今回のミッションで活躍したことについて「日常的に自ら謎を解いてどう切り抜けるのか一生懸命考えることができるようになっていて、研究者として成長している。そうした環境を提供できたことが私としても一番の喜びだった。これからの探査も期待したい」と話していました。

関連部品開発に携わった神奈川県の工場関係者からも喜びの声

日本の探査機「はやぶさ2」のカプセルが地球に帰還したことを受けて、小惑星への着陸に不可欠な特殊なランプを開発した神奈川県海老名市の工場の技術者は「今回の成功は、関わった企業すべての努力が実った結果なので、満足感やうれしさがあります」と話しています。

開発したランプは、ストロボのように光り、事前に着陸地点付近に落とした「ターゲットマーカ」と呼ばれるボール状の目印を照らし出すことで機体を正確に誘導し、宇宙空間で強い光を放つ性能と厳しい環境でも壊れない耐久性が求められ、町工場では何度も試験を行ったと言うことです。

開発に携わった責任者の西森憲一さんは、インターネットで配信されたカプセルの帰還の様子を緊張しながら見守ったということです。
西森さんは、「今回の成功は、私たちの会社だけでなく、関わったすべての企業の努力が実った結果です。満足感やうれしさとともに日本の技術力は、まだまだ力があると感じました。採取されたサンプルが日本だけでなく世界に届けられ、今後の宇宙開発や宇宙を身近に感じることに役立ってほしいと思います」と話していました。

萩生田文科相「わが国の技術力 内外に示すことにつながる快挙」

萩生田文部科学大臣は、談話を発表し「『はやぶさ2』がトラブルなく高い精度の運用に成功したことは、宇宙探査に関するわが国の高い技術力を内外に示すことにつながる快挙であり誇らしく思う」としています。

その上で「『はやぶさ2』の活動は、国民に夢や希望を与え、子どもたちの科学への関心を育む機会も提供してくれるものだ。今後とも未知の領域を切り拓く優れた成果を挙げることを期待している」として、今後の活動に期待を示しました。

井上科学技術相「不断の努力 高く評価」

宇宙政策を担当する井上科学技術担当大臣は「6年にわたる任務を大きなトラブルなく遂行した。これは失敗を恐れず挑戦したJAXA=宇宙航空研究開発機構や関係する企業、大学の研究者、技術者の不断の努力によって達成されたものであると高く評価している。『はやぶさ』や『はやぶさ2』で培った技術力をベースに、今後とも長期的な視点を持って宇宙科学・探査に取り組むなど、わが国の高い技術力を通じ、世界の社会的課題の解決や、新たな知のフロンティアの開拓に貢献できるよう宇宙開発利用を積極的に進めていく」とする談話を発表しました。