台湾 中国のコロナ対策描く絵本 許可申請ないと発行禁止へ

新型コロナウイルスの感染対策に取り組む中国の医師を描いた絵本が台湾で発行され、中国の感染対策を美化するような内容だとして批判が高まり、台湾当局は、必要な許可申請がなかったことを理由に発行禁止の処分としました。

この絵本は「お父さんの帰りを待ちながら」という題名で、幼い主人公の父親の医師が春節の休みを返上して新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めようと尽力する姿を描いています。

絵本の中には、「中国頑張れ」「武漢頑張れ」という表現もあり、台湾の議員から「中国のコロナ対策を美化するような内容だ」と批判が高まりました。

ことし5月に初版が発行されたこの絵本には、繁体字という台湾の漢字が使われていて、本には「繁体字版の出版は中国の会社が権利を与えた」と記されています。

これについて、台湾の文化部は「中国の出版物を台湾で発行する場合に必要な事前の許可申請がなかった」として、今月2日、発行禁止の処分としました。

台湾の発行元は、この絵本をすべて回収すると表明したということです。

中国では、青少年に読書を通じて習近平国家主席の思想を学ばせる「紅読計画」という運動が行われ、絵本に記載されていた中国の会社も協力しているということです。

台湾当局は、出版の自由を尊重するとしつつも、今回の問題を中国による統一工作の一環だとして、管理体制を強めることにしています。