サウジなど主な産油国 来月から生産量をやや引き上げで合意

サウジアラビアやロシアなど主な産油国は、新型コロナウイルスによる原油需要の低迷を受け、大規模な減産を続けていますが、ワクチンの普及への期待で原油価格が上昇傾向にあることなどから、来年1月の生産量を今よりやや引き上げることを決めました。

サウジアラビアが主導するOPEC=石油輸出国機構と、ロシアなど非加盟の産油国は、3日、来年の原油の生産量を決める会合をオンラインで開きました。

これらの産油国は新型ウイルスの感染拡大によって急激に落ち込んだ原油価格を下支えするため、ことし5月、協力して生産を絞る協調減産に踏み切っていて、減産の規模は現在、世界全体の需要のおよそ8%にあたる日量770万バレルを目標にしています。

会合では来年1月の減産について、規模をやや縮小して日量720万バレルとし、生産量を今より50万バレル引き上げることで合意しました。

産油国は、ヨーロッパなどでの感染の再拡大によって原油需要の低迷が続くと見込まれることから、来年も大規模な協調減産を続ける方向で調整を進めてきました。

しかし、原油価格はこのところワクチンの普及への期待が高まって上昇傾向にあることなどから、生産量をやや回復させることになりました。

一方、2月以降の生産量については、需要の先行きが依然として不透明なことから、各国の経済活動の動きなどをにらみながら、毎月の協議で慎重に判断していくとしています。

原油価格 新型コロナのワクチン開発への期待から上昇傾向に

原油価格は、11月以降、新型コロナウイルスのワクチン開発への期待から、上昇傾向にあります。

国際的な指標となるWTIの先物価格は、ここ数年、おおむね1バレル=50ドル台から60ドル台で推移していましたが、新型ウイルスの感染拡大の影響を受け、急落しました。

原油価格は需給関係が価格構成の大きな要因ですが、新型ウイルスで景気が大きく悪化したことし4月20日には、1バレル=マイナス40ドルと、「事実上、買い手がいない」異常事態に陥りました。
マイナス価格を記録したのは一時的でしたが、その後も低迷が続きました。

それでも、11月に入ってからは、ワクチン開発への期待から、株価が大幅に値上がりしたのに伴って、原油価格も上昇を始めました。

景気が回復すれば、原油の需要も持ち直してくるという見方からです。

3日の時点では、1バレル=45ドル半ばと、ことし3月初めの水準まで値を戻しています。