大阪府「赤信号」初点灯 不要不急の外出控えるよう呼びかけへ

新型コロナウイルスの重症患者の急増を受けて、大阪府は3日夜、緊急の対策本部会議を開き、府内の医療体制がひっ迫しているとして、独自に設けた「大阪モデル」で「非常事態」を示す赤信号を初めて点灯させることを決めました。また、すべての府民に対し、4日から今月15日までの期間、できるかぎり不要不急の外出を控えるよう呼びかけることも決めました。

大阪府では、2日に発表さ重症患者数が、1日としては過去最多の131人に上り、重症患者を受け入れる病床の使用率も63.6%と、「大阪モデル」で「非常事態」を示す赤信号に変わる基準の70%に迫っています。

こうした状況を受けて、大阪府は3日夜、緊急の対策本部会議を開き、冒頭、吉村知事は「医療提供体制が非常にひっ迫している。特に重症者への提供体制がひっ迫しており、医療における非常事態宣言と言えるような状況だ。医療提供体制をなんとか守り、命を守ることを第一に対策を取っていきたい」と述べ、危機感を示しました。

会議では、重症患者数が、このまま横ばいで推移した場合は12月8日に、また、1.2倍で推移した場合は今月7日に、病床の使用率が70%に達する見込みであることが報告されました。

そのうえで、府民に行動変容を一層促すことで感染拡大をおさえ、医療崩壊を防ごうと、「大阪モデル」で初めて赤信号を点灯させることを決めました。

そして、すべての府民に対し、4日から12月15日までの12日間、できるかぎり不要不急の外出を控えるよう呼びかけることを決めました。

府民への不要不急の外出自粛の要請は、国が緊急事態宣言を出した、ことし4月以来となります。

さらに、大阪・北区と中央区の酒類を提供する飲食店などを対象とした営業時間短縮の要請についても、12月11日までとしていた期間を今月15日まで延長することを決めました。

大阪府病院協会会長「医療崩壊が間近に迫る」

大阪府内にある病院でつくる、大阪府病院協会の佐々木洋会長は「重症病床が足りないだけでなく、中・軽症の病院でも、すぐ受け入れることができない状況が現実に起こりつつある。いま、まさに医療崩壊が間近に迫っているという危機感が強く、行政は、感染者が出ないよう、より強い対策を講じるべきだ」と話しています。

飲食店「人通りがこれ以上少なくなったらどうしよう」

大阪 ミナミの飲食店からは、売り上げのさらなる減少を心配する声が聞かれました。

大阪府は、大阪 北区と中央区で酒類を提供する飲食店などを対象に、11月27日から12月11日まで、営業時間を午後9時までに短縮するよう要請しています。

中央区の道頓堀で営業しているたこ焼き店は、もともと午後11時まで営業していましたが、要請が出されてからは、午後9時で店を閉めています。

従業員の男性によりますと、街の人通りも減って、売り上げは大幅に下がったということです。

大阪モデルの赤信号の点灯に伴い、営業時間短縮要請の期間も延長が検討されていますが、書き入れ時の年末年始を前にした延長は、特に影響が大きいとしています。

「大たこ」の従業員の男性は「売り上げは落ちているし、人通りが少なくなっているので、これ以上少なくなったらどうしようというのが正直な思いだ。早く感染がおさまって、たくさんの人に来てほしい」と話していました。

大阪 ミナミでは

大阪 ミナミで話を聞きました。

路上で大道芸を披露していた20代の男性は、外出自粛などの要請が出されれば仕事にならないとしたうえで「2週間くらい皆で自粛して、コロナがおさまってから、気持ちよく大道芸をやりたいです」と話していました。

仕事で大阪を訪れた奈良県の60代の男性は「基本的に自粛したいと思うが、何かあったときには、出ないと仕方がない」と話していました。

50代の看護師の女性は「コロナだから、自粛はしかたないと思う。仕事柄外出は控えめにしています」と話していました。