児童・生徒の感染確認 半年で約3300人 冬の感染対策は?

学校再開からの半年間に感染が確認された児童や生徒はおよそ3300人で、家庭内での感染が多く、小中学生では学校内の感染は1割以下となっていることがわかりました。文部科学省は、感染が確認されてもすぐには臨時休校を行わないよう対応を見直すとともに、新たに冬の感染対策を示して学習の継続を呼びかけています。

文部科学省は、全国的に学校が再開したことし6月から11月25日までのおよそ半年間の児童や生徒の感染状況をきょう公表し、それによりますと、小学生が1252人、中学生が782人、高校生が1224人、特別支援学校の生徒が45人のあわせて3303人でした。

感染経路を見ると、▽「家庭内感染」が小学生では73%、中学生では64%と多くなった一方、▽「学校内感染」は小学生では6%、中学生では10%となっています。

ただ、生活圏が広い高校生は、▽「感染経路不明」が35%と最も多く、▽「学校内感染」も24%となっていて、集団感染への対策が必要だとしています。

また、8月中旬以降に感染の報告があった1996校のうち、▼感染が1人でとどまり学校内で広がらなかった学校は78%だった一方、▼5人以上の感染が確認された学校は2.6%で、文部科学省は学校現場の感染防止の取り組みの効果が見られるとしています。

こうした状況を受け文部科学省では、▽感染者が出た時点ですぐには臨時休校にせずに、保健所と相談して判断するようマニュアルを改訂しました。

あわせて、▽冬の感染対策も新たに示し、教室での常時換気や室内での防寒着の着用への柔軟な対応などを求め、可能なかぎり学習を継続するよう求めています。

文部科学省の平山直子健康教育・食育課長は「小中学校では教職員の努力もあり、感染対策と学びが両立されている。休校になったときの子どもへの不利益は大きいので冬の対策も大変だと思うが乗り切ってほしい」と呼びかけています。

冬の感染対策のポイント

冬場は空気が乾燥して飛まつが飛びやすくなるとして、文部科学省が専門家の意見をもとにまとめた、学校現場での冬の感染対策のポイントです。

この中では、寒い環境でもできるかぎり常時換気をするよう求めています。
▼換気の方法としては、廊下側と窓側を対角に開けることで
 効率的に換気ができるとしていて、
▼窓を開ける幅は10センチから 20センチ程度を
 目安としています。

また、
▼常時の換気が難しい場合は30分に1回以上、少なくとも休み
 時間ごとに窓を全開にするよう呼びかけています。

このほか、換気により教室の温度を保つことが難しいときは、
▼児童生徒に暖かい服装を心がけるよう指導し、室内でも
 防寒着などを着用できるよう柔軟な対応を求めているほか、
▼室温が下がりすぎないよう、空き教室で窓を開け廊下を経由して
 少し暖まった状態で新鮮な空気を入れる、「二段階換気」も
 有効だとしています。

加湿については、
▼乾燥にしている場合は、適度な加湿がウイルスの飛散防止に
 役立つとしていますが、マスクをつけている場面が多いため、
 無理のない範囲で取り組むよう求めています。

学びを止めないよう 本格的な冬に備えて感染対策

再び感染が拡大する中、学校現場では休校などで子どもたちの学びを止めることがないよう、本格的な冬に備えて感染対策を徹底しています。

東京・多摩市の東寺方小学校では、夏には暑さ対策と両立するためミストなどの装置を設置していましたが、冬を迎えた今は乾燥や寒さを意識して対策をさらに強化しています。

登校時間になると、新たに購入したサーモグラフィーを手に校長が昇降口に立ち、発熱している児童がいないか確認していました。

3日も教室の前でも、担任の教員が自宅で測った体温を記した検温表をチェックしてから、児童たちはそれぞれの教室に入っていきました。

このうち、5年生の教室では、感染対策のため窓とドアを開けて換気をしながら授業が行われていましたが、室温が下がらないよう暖房はつけたままになっています。

教室には、乾燥する冬の対策として新たに湿度が測れる温度計も設置され、湿度が下がったらぬれたタオルを干すなどの対応をすることにしています。
そして、手洗い場の蛇口は、手で握らなくても水を出せるよう2日からレバー式に変えられ、子どもたちは授業が終わるたびに廊下で距離を取って並び繰り返し手を洗っていました。

5年生の女子児童は、「手を洗う時に冷たくて寒いので、本当はやりたくないけれど、コロナにかかりたくないのでやっています。水道の水が温かかったらなと思います」と話していました。

また同じクラスの男子児童は「寒さでこごえるよりも、コロナに感染するほうが怖いので、そこは我慢してやっています。手洗い・うがいをしっかりやっていこうと思います」と話していました。

このほか休み時間にも感染が広がらないよう、図書室の机の上には飛まつ対策のためのアクリル板が設置され、子どもたちは友達と離れたところに座って静かに本を読んでいました。

この学校では、ことし3月から6月1日に学校を再開するまで3か月間休校し、いまもその遅れを取り戻すため授業では子どもどうしの対話の時間を削って対応していて、学校では休校などでこれ以上、学びに影響が出ないよう冬も対策を徹底していくことにしています。

伊藤智子校長は、「いま第3波が押し寄せていて、学校現場では緊張感が高まっています。夏は熱中症も含めて対応が必要でしたが、冬は冬で、湿度とか室内の換気については十分に対応策を練らなければと危機感をもっています。完璧にコロナを防ぐのは難しいが二度と学びを止めることはできないので、引き続き対応策を徹底的に行い感染を防いでいきたい」と話していました。