韓国柔道 視覚障害と偽りパラリンピック出場 元監督ら起訴

韓国の検察は、視覚に障害があると偽って健常者をリオデジャネイロパラリンピックなどに出場させ、政府の褒しょう金を不正に受け取ったとして、韓国柔道代表の元監督を起訴するとともに、メダリストを含む選手13人を在宅起訴したと、地元メディアが伝えました。

韓国の主要紙、朝鮮日報などによりますと、ソウル南部地方検察庁は、視覚に障害があると偽って健常者を2016年のリオデジャネイロパラリンピックなどに出場させ、政府の褒しょう金を不正に受け取ったとして、1日付けで韓国柔道代表の元監督を補助金管理法違反などの罪で起訴するとともに、選手13人を在宅起訴しました。

パラリンピックの柔道には視覚に障害がある選手が出場し、矯正視力が0.1以下であることなどが参加の基準となっていますが、元監督は視力検査で選手たちに「見えない」などとうそを言わせて診断書を取得させたうえで、韓国代表に選んだということです。

選手たちはリオデジャネイロパラリンピックをはじめ、2014年に韓国のインチョン(仁川)と、おととしインドネシアのジャカルタで開かれたアジアパラ大会でも、多くのメダルを獲得したということです。

この結果、元監督と選手たちは合わせて1億2000万ウォン余り(日本円で1100万円余り)の褒しょう金を不正に受け取ったとしています。

国際大会に選手を派遣する大韓障害者体育会は、NHKの取材に対し、「これまでは法律に基づく障害者の登録証がなくても国際大会に出場できたが、事件を受けて登録証の取得を義務づけるなど対策を強化した」とコメントしています。

日本視覚障害者柔道連盟「障害認定をめぐる不正は屈辱」

日本視覚障害者柔道連盟の松下邦彦総務部長は「公認の国際大会では専門のドクターが検診をしてクラス分けを行っているので、『本当に不正があるのか』と率直に言って驚きだ。障害認定をめぐる不正は、視覚障害者柔道界において屈辱であり、視覚障害者柔道を見る周りの目が変わってしまうことはさみしいことだ」と話しています。

日本パラ陸上競技連盟「パラスポーツ全体の危機」

選手の障害を判定する「クラス分け」の国際的な資格を持つ日本パラ陸上競技連盟の指宿立 強化委員長は「韓国のほかの競技の選手に対しても疑いの目が向けられるだけでなく、すべての視覚障害の競技で出場資格が疑われることになりかねず、パラスポーツ全体の危機だ」と指摘しています。

パラリンピックでは2000年のシドニー大会のバスケットボールで優勝したスペインの選手のほとんどが知的障害があるように装っていた不正をきっかけに、その後12年間、パラリンピックのすべての競技で知的障害のクラスが行われないという事態に陥りました。

指宿委員長は「東京パラリンピックで同じような不正が起きないようIPC=国際パラリンピック委員会は視覚障害のクラス分けのあり方を根本から見直さなければならない」と話していました。