東京都 新型コロナ重症患者向けベッド 200床確保を要請

東京都は新型コロナウイルスの重症の患者向けのベッドを今より50床増やして200床確保するよう、都内の医療機関に要請する通知を出しました。

都内では、都の基準で集計した重症の患者が増加傾向で、医療機関のひっ迫が懸念されています。

都は、重症の患者が今後、さらに増えたときにも対応できるよう、現在確保している150床からさらに50床増やし200床確保するよう都内の医療機関に要請する通知を2日、出しました。

通知の中では、重症患者向けを除いた中等症以下の患者用のベッドを今の2490床から310床増やして2800床確保するよう合わせて要請しています。

重症患者向けのベッドの確保について、都は、先月16日に300床の確保を視野に入れて準備するよう通知していましたが今回の200床の要請は、「準備」のお願いではなく実際の「確保」を求めるものです。

「準備」段階の要請と同じ300床の確保を求めなかった理由について、都は「新型コロナウイルス以外の患者の医療体制を圧迫しないよう考慮した」としています。

重症患者の受け入れ 1日1~2人が限界

専門家は、その日に入院できる病床数は、都が「確保」している病床数の空きより少なく、1つの医療機関で受け入れることができる重症の患者は、1日に1人か2人が限界となるケースが多いと指摘しています。

専門家によりますと、新型コロナウイルスの重症患者を受け入れるためには、人工呼吸器や人工心肺装置=ECMOを装着するなど、患者の症状に応じた医療行為が必要なほか、感染防止対策などのため、多くの看護師や医師が必要です。

このため、1つの医療機関で受け入れることができる重症の患者は、1日に1人か2人が限界となるケースが多いということです。

都は、重症の患者向けのベッドを200床確保するよう医療機関に通知しましたが、専門家によりますと、その日に入院できる病床数は、都が「確保」している病床数の空きより少ないということです。

また、こうしたベッドを用意する時は、合わせて医師や看護師も確保して準備を進めるということですが、通常医療を行っている病床に加え、医師や看護師も転用する必要があるということです。

このため、救急の受け入れや、予定している手術を制限したりする場合があるということです。

都のモニタリング会議で専門家は「重症患者は、新規陽性者の増加から少し遅れて増加してくる。人工呼吸器の離脱まで長期間を要する患者が増えると、重症患者数は急増する可能性がある」と指摘していて、医療体制への影響に厳重な警戒が必要だと危機感を示しています。