仏 ジスカールデスタン元大統領死去 新型コロナ感染

1974年から1981年にかけてフランスの大統領を務め、国際的な課題を首脳が話し合うサミット・主要国首脳会議を提案したジスカールデスタン元大統領が94歳で死去しました。フランスのメディアはジスカールデスタン氏が新型コロナウイルスに感染して亡くなったと伝えています。

フランス大統領府はバレリー・ジスカールデスタン元大統領が2日、死去したと発表しました。

フランスのメディアはジスカールデスタン元大統領がこの数か月、体調を崩して病院への入退院を繰り返していたとしたうえで、家族の話として新型コロナウイルスに感染した結果、亡くなったと伝えています。

ジスカールデスタン元大統領は1926年、ドイツ西部のコブレンツで生まれ、フランスのエリート官僚の養成校である国立行政学院を卒業し、1974年に48歳で大統領に就任しました。

在任中、石油危機の影響で世界経済の低迷が続く中、主要国の間で政策面での協力を深めようとサミット・主要国首脳会議を提案しました。

サミットは1975年にパリ近郊のランブイエで第1回が開催されその後、国際的な課題を首脳が話し合う場として毎年、続いてきました。

一方、内政面では選挙権年齢を18歳に引き下げたほか、人工妊娠中絶を合法化したり、離婚の条件を緩和したりしましたが、1981年の大統領選挙で社会党のミッテラン氏に敗れ、1期7年で大統領の座を去りました。

ヨーロッパの統合を支持したことでも知られ、のちにEU=ヨーロッパ連合の基本条約となる「憲法条約」の草案に関わるなど退任後も精力的に活動しました。

死去の知らせを受けてフランスの議会では議員が黙とうをささげたほか、フランス大統領府は声明で「その行動力と洞察力で国民を納得させた献身的な政治家だった。7年間の任期でフランスを変革させた。フランスに示した方向性はいまも私たちの歩みの指針となっている」としてその功績をたたえています。

菅首相「国際社会に多大な貢献」

菅総理大臣は、フランスのジスカールデスタン元大統領が死去したことを受けて、哀悼の意を示すメッセージを、元大統領の夫人宛てに送りました。

この中で、菅総理大臣は、「ジスカールデスタン元大統領は1974年から7年間の大統領在任中、石油危機に揺れる国際社会の平和と安定のために多大な貢献をされた。特に、元大統領の力強いリーダーシップにより、1975年に開催された、第1回のサミット・主要国首脳会議は、現在まで続く歴史的成果だ。大統領を退任された後も、欧州統合のために精力的に活動してこられたことに敬意を表する。生前の功績をしのびつつ、ご冥福を心からお祈りする」としています。

加藤官房長官「謹んでご冥福をお祈りしたい」

加藤官房長官は3日午前の記者会見で「心からお悔やみを申し上げたい。記憶に残る外交上の功績としては、1975年にランブイエで、第1回のサミットを開催したことがあげられる。また、大統領を退任したあとも、欧州の統合の推進に尽力された。新型コロナウイルスにより逝去されたとも聞いているが、謹んでご冥福をお祈りしたい」と述べました。