Go Toトラベル 東京自粛呼びかけ 与党側は評価 野党側は批判

「Go Toトラベル」をめぐり、政府と東京都は東京発着の旅行について、65歳以上の高齢者と基礎疾患のある人に一定期間、自粛を呼びかけることになりました。与党側からは、一定の評価が示されたのに対し、野党側は感染拡大を食い止めるための根本的な解決にはならないと批判しています。

「Go Toトラベル」をめぐり菅総理大臣は1日、東京都の小池知事と会談し、東京発着の旅行について、65歳以上の高齢者と基礎疾患のある人に一定期間、自粛を呼びかけることで合意しました。

与党側からは公明党の山口代表が党の会合で「東京都内では重症者が増えてゆゆしき状況だが、東京からの観光客は、各地の観光地から寄与する度合いが高いと期待されている。全面的に発着を停止する措置ではなく、自粛の対応を決めたことは、配慮であると受け止めたい」と述べ、一定の評価を示しました。

一方、野党側は、立憲民主党の安住国会対策委員長が「中途半端な対策では、根本的な解決にならず、全国でもっと思い切った措置を取らざるをえなくなっている。さらに感染者数が増えるのであれば、補助金まで出して旅行を促す政策は、少し止めることが常識的ではないか。常識的なことをやっていないのが菅内閣だ」と批判しました。

自民 森山国対委員長「非常にいい結論」

自民党の森山国会対策委員長は、記者団に対し「菅総理大臣と東京都の小池知事との会談で、非常にいい結論を見いだしていただけたのではないか」と述べました。

加藤官房長官「政府としての対応検討中」

加藤官房長官は、午前の記者会見で、「要請を受けて東京都とも緊密に連携を図っており、政府としての対応は検討しているところだ」と述べました。

一方で、「政府としては、一律の自粛を要請しているわけではない。65歳以上の高齢者や基礎疾患のある方は、感染した場合に重症化するおそれが高いことから、移動にあたって特に感染対策を徹底していただく必要があり、いくつかの感染が拡大している都道府県では、こうした方々に不要不急の外出の自粛の要請が行われている」と述べました。

そのうえで、加藤官房長官は、「感染防止対策と社会経済の両方を図っていくことが重要だという基本認識に立って、マスクの着用、手洗、『3密』の回避といった基本的な感染防止対策の徹底の協力を頂きたい」と述べました。

共産 穀田国会対策委員長「菅首相は自分の考えに固執」

共産党の穀田国会対策委員長は記者会見で「結局、菅総理大臣が、みずから主導した『Go Toキャンペーン』に固執しているということだ。感染症対策よりも、自分の掲げた考え方を押し通すようなことがあっていいのかが問われている。大事なのは感染の爆発的な広がりをどう防ぐかで、キャンペーンは全国で一時停止すべきだ」と述べました。

赤羽国交相「対応検討している」

赤羽国土交通大臣は、都内での視察のあと記者団の取材に応じました。

この中で、Go Toトラベルをめぐり東京発着の旅行で65歳以上の高齢者と基礎疾患のある人の利用の自粛を呼びかけることについて「具体的にどういう対応ができるのか、観光庁でいま、技術的につめている。今後、政府としての回答を西村担当大臣から東京都にお返しさせていただくプロセスになる。対応については、いままさに検討している段階だ」と述べて自粛の呼びかけに伴うキャンセル料の扱いなど具体的な対応を検討していることを明らかにしました。

公明 竹内政調会長「ギリギリでやむを得ない判断」

公明党の竹内政務調査会長は記者会見で、「感染拡大の防止と経済との両立を図る意味では、苦渋の選択だったと思う。ギリギリでやむを得ない判断だ」と述べました。

分科会 尾身会長「若い人へのメッセージもお願いしたい」

政府の分科会の尾身茂会長は、衆議院厚生労働委員会で、「高齢者や基礎疾患がある人に配慮した決断の一歩に感謝したい」と述べました。

一方で、「現在の感染状況を短期間で沈静化させるためには人々がいま進むべき方向性を共有する必要がある。今回の決断は高齢者や基礎疾患のある人へのメッセージということでは伝わると思うので、若い人へのメッセージも、ぜひお願いしたい。人々の理解、共感を得るためには、さまざまな政策を整合性のある形で進めていくことが重要だ」と述べました。

日本医師会 中川会長「一定程度の警鐘や緊張感もたらした」

日本医師会の中川会長は記者会見で「65歳以上とリスクのある人に限定はしたが、一定程度の警鐘や緊張感をもたらしたと思う。ちょっとした柔軟な変更や対応は感染者が減少に転じるきっかけに十分なるので、一定程度の期待を持って評価したい」と述べました。

そのうえで「感染者数が減少に転じなかった場合には次の段階に入る。『緊急事態宣言をもう一度』という事態になることも無くはないので、この師走は正念場だ」と述べました。

日商 三村会頭「苦渋の決断でやむを得ない」

日本商工会議所の三村会頭は「Go Toトラベル」をめぐり、東京発着の旅行で、65歳以上の高齢者と基礎疾患のある人の利用の自粛を呼びかけることについて会見で、感染対策と経済活動の両立ができるぎりぎりの内容だと述べ、評価する考えを示しました。

日本商工会議所の三村会頭は2日の定例会見で、東京都と政府が「Go Toトラベル」の東京発着の旅行について、65歳以上の高齢者と糖尿病など基礎疾患のある人に、自粛を呼びかけることについて「感染の再拡大で『Go Toトラベル』の対象から除外となった、札幌市と大阪市の中小企業からは、悲鳴のような声が寄せられているのも事実だ。『Go To』を抑制するにしても、経済活動を維持するぎりぎりのところをねらってほしいと、政府にお願いしてきた」と述べました。

そのうえで「東京都の小池知事も判断には慎重になっていたと思うが、ぎりぎりのところをねらってくれた。65歳以上の人はお金の余裕が比較的あり、経済への影響は大きいかもしれないが、苦渋の決断でやむを得ない」として、評価する考えを示しました。