茨城 鹿島港で貨物船と遊漁船が衝突 遊漁船の1人死亡11人けが

28日朝、茨城県の鹿島港の入り口付近で貨物船と遊漁船が衝突して、遊漁船に乗っていた12人全員が海に投げ出され乗客の男性1人が死亡したほか、11人がけがをしました。鹿島海上保安署は港に入ろうとしていた貨物船と港を出ようとしていた遊漁船が衝突したと見て、国の運輸安全委員会とともに事故の原因を調べています。

28日午前5時半ごろ、茨城県の鹿島港の入り口付近で貨物船「はやと」(498トン)と遊漁船「第五不動丸」(およそ5トン)が衝突し、「第五不動丸」に乗っていた乗客10人と乗組員2人の合わせて12人全員が海に投げ出されました。

まもなく全員救助されましたが、このうち、乗客で東京・西東京市の栗原篤徳さん(46)が死亡し、ほかの乗客9人と乗組員2人の合わせて11人がけがをしました。この事故で「第五不動丸」は船体のほとんどが水没して船首部分だけが海面に出た状態になりました。

鹿島海上保安署や双方の会社などによりますと、貨物船は、積み荷を載せるため28日、鹿島港に入港する予定だったということです。

一方の遊漁船は、釣り客を乗せて沖に向かう途中だったということで、鹿島海上保安署は港に入ろうとしていた貨物船と港を出ようとしていた遊漁船が衝突したと見て、国の運輸安全委員会とともに当時の状況と事故の原因を調べています。

船舶事故調査官「本格的な情報収集」

事故の詳しい原因を調べるため、国の運輸安全委員会は調査官3人を現地に派遣し、午後3時半すぎ、鹿島海上保安署に入りました。

その後、末門賢巳船舶事故調査官がNHKの取材に応じ「本格的な情報収集はこれから行っていく。まだ、あたりが暗い早朝の衝突事故ということで双方の見張りがポイントとなってくると思うが予断を持たず、貨物船や遊漁船の双方から話を聞いたり衝突の痕を確認したりして事実を明らかにしていきたい」と話していました。

別の船の船長「あちこちから『助けてくれ』の声」

転落した人の救助活動にあたった別の船の船長の30代男性は「貨物船の近くを通った時に貨物船のほうから『救助をお願いします』という声が聞こえたので自分の船を止めたら、あちこちから『助けてくれ』という声が聞こえてきた。仲間の船にも無線で連絡をとって救助にあたった。転落した人たちはライフジャケットを着ていたので、船を近づけたうえで、ひものついた浮き輪を投げて、ほかの釣り客も手を貸してくれて一緒に船に引き上げた。3人を救助したが、寒さを訴え足が動かない人や油まみれの人がいた。救助した人からは『ドンという音が鳴って、船がひっくり返っていった』と聞いた」と話していました。

別の釣り船の男性「海上を捜した」

現場近くで、別の釣り船に乗っていた東京都の40代の男性は「船長から『船の事故で10人くらいが投げ出されて3人が行方不明だ』というアナウンスがあって事故に気付きました。『協力してください』と呼びかけられ、海に人がいないか捜しました。全員がライフジャケットを着ていて、救助されたと聞いています」と話していました。

別の釣り船客「暗い中で5隻で出発した」

事故当時、現場近くで別の釣り船に乗っていたという男性は、「朝5時に5隻の釣り船で出発したが、暗い中を海を進んでいる時に、そのうちの1隻の『第五不動丸』が事故にあったという知らせが入った。船長を含めた12人が放り出され、一時、3人が行方不明になっていたが、全員見つかったと聞きました」と話していました。

貨物船の乗組員は全員無事

遊漁船「不動丸」と衝突した貨物船「はやと」を運航する広島市の会社によりますと、貨物船の乗組員は全員無事だということです。

貨物船は28日、鹿島港に入港する予定だったということです。

遊漁船の施設の職員「波も風もなかった」

遊漁船の施設の職員の男性は「午前7時前に来たときには、もう救急車や消防車が来ていた。波も風もなかったので危険な状況ではなかったように思う」と話していました。

事故現場に近い鹿嶋市の鹿島港周辺では警察や消防などの車両が救助のため集まっていて、釣り人や漁船の関係者などが緊張した様子で見守っていました。

遊漁船会社の代表取締役「気付いたときには目の前に貨物船」

「第五不動丸」を運航する会社、「鹿島豊栄丸」の中川博文代表取締役(48)はNHKの取材に対し「大変ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。なんと話をしたらよいのか分かりませんが、本当に申し訳ありません」と述べました。

また、当時の状況について、「タコ釣りに出かけた10人の客を乗せた船が事故にあった。貨物船とはお互いの船首あたりがぶつかったと聞いている。薄暗い状態だったが、波も穏やかで釣りへ出港するのは問題ない状態だった」と説明しました。

そして「当時は大きな船が4隻連なって海上を進んでいて遊漁船はそれをよけながら進んでいた。遊漁船の船長とも少し話したが、気付いたときには目の前に貨物船があり、ぶつかってしまったようだ。ふだんから大きな貨物船が通る場所ではあるので、右側通行などを徹底するなど再発防止に努めたい」と話していました。

事故当時の気象は

気象庁によりますと、鹿島港近くの鹿嶋市のアメダスでは事故のおよそ30分前の午前5時には風速1.6メートルの北の風が観測されていました。

強風注意報や波浪注意報は出されていませんでした。
国の運輸安全委員会の調査官3人は、28日午後3時半すぎ、事故の調査のため鹿島海上保安署に入りました。

その後、末門賢巳船舶事故調査官がNHKの取材に応じ「本格的な情報収集はこれから行っていく。まだ、あたりが暗い早朝の衝突事故ということで双方の見張りがポイントとなってくると思うが予断を持たず、貨物船や遊漁船の双方から話を聞いたり衝突の痕を確認したりして事実を明らかにしていきたい」と話していました。