米 年末商戦スタートも 人でにぎわう光景はほとんど見られず

アメリカでは、26日、感謝祭の休日を迎え、年末商戦が本格的にスタートしましたが、ことしは新型コロナウイルスの影響で、多くの人でにぎわう光景はほとんど見られません。業界団体は、それでもネット販売などの急増で、去年を大幅に上回る売り上げを見込んでいます。

感謝祭の祝日を迎えた26日、ニューヨークでは中心部を練り歩く例年のようなパレードはなく、あいにくの雨ということもあり、街を行き交う人の姿は去年よりも少なく見えました。

アメリカでは、感謝祭翌日の金曜日が、どの店も黒字になるとして「ブラックフライデー」と呼ばれるなど、この時期が年末商戦の本格的なスタートに当たります。

ところが、ことしは新型ウイルスの感染拡大の影響でマンハッタンの中心にある老舗デパートの「メイシーズ」では、感謝祭当日に始めていたセールを8年ぶりに取りやめ、この日は休業にしました。

ことしの年末商戦はインターネット販売が大きく伸びると見られていて、全米小売業協会では、今月と来月の売り上げは、全体で去年の同じ時期に比べ最大で5%以上増えると予測しています。

ただ、別の調査では、実店舗での売り上げは逆に4.7%減るとの予想もあり、ネット販売に力を入れている大手に比べ、街の小さな小売店などは深刻な影響を受けるとの見方もあります。

GDP=国内総生産の7割を占め、世界経済にも影響を与えるアメリカの個人消費の行方が注目されます。

インターネット販売 伸びる見込み

今週から本格化するアメリカの年末商戦について、NRF=全米小売業協会は、今月と来月の、自動車や外食を除く小売業の売り上げについて、最大で7667億ドル、日本円でおよそ80兆円に達すると見込んでいます。

これは、去年の同じ時期に比べて5.2%の増加で、ここ数年と同じ程度か、これを上回る伸び率です。

特に、インターネット販売の売り上げは22兆円余りで、去年に比べると最大で30%伸びると見込んでいます。

一方、市場調査会社のeMarketerの予測では、インターネットでの売り上げは35.8%の大幅な伸びを記録する一方で、全体の伸びは0.9%にとどまるとしています。

これは、実店舗での売り上げがマイナス4.7%まで落ち込むと見ているためです。

関係者の間には、「例年とは違う年末商戦になる」という見方の一方で、「新型ウイルスの影響が続く中で 年末くらいは特別に過ごしたい」という消費心理も働いて、売り上げは増加するという期待があります。

ただ、売り上げの増加はインターネット販売の急増が支える構図で、こうした販売方法に力を入れることができない中小の小売業には深刻な影響が出るのではないかという懸念もあります。