都内の医療機関 コロナ重症患者増で病床埋まり…危機感強める

新型コロナウイルスの重症患者が増え続ける中、都内の医療機関でも、重症者向けの病床が埋まってしまったところが出てきています。重症患者の治療には人手を要するため、今後、病床を増やすことは容易ではなく、医療関係者は危機感を強めています。

東京 文京区にある東京医科歯科大学病院は、新型コロナウイルスの専用病床を55床確保し、このうち、47床が中等症以下、8床が人工呼吸器や人工心肺装置=ECMOが必要な重症患者向けとなっています。

今月上旬から入院患者が増え、現在、中等症以下のベッドは47床のうち21床が使用されています。

そして重症患者のベッドは、8床あるものの、治療には医師や看護師などの一定の人手を要するため、現在使用しているのは7床。そのすべてが埋まっていて、それ以上の受け入れは断らざるをえないのが現状です。

東京都は、感染の拡大を受け、重症患者用のベッドを150床から2倍の300床に増やすことを視野に入れて、医療提供体制を強化したいとしています。

しかし、この病院では、看護師などのスタッフの確保やコロナ以外の診療を考えると現時点では、今の病床数を維持するのが精いっぱいだといいます。

病院では、6月から通常の診療体制に戻し新型コロナ以外の患者も多く受け入れていて、がんの手術や救急医療を再び中止することはできないといいます。

東京医科歯科大学病院の内田信一病院長は「第2波以降はじめて、用意した重症病床が全部埋まってしまい、切迫感がある。また最近は、重症患者の中でもより症状が重くすぐに退院できない人が多くなってきている。重症患者の病床は単にベッドがあればよいのではなく、訓練されたスタッフが対応に当たらなければならないほか、医療機器やスペースも必要で、一時的に8床、9床と増やすことはできるかもしれないが、ずっと増やし続けるのは厳しい。他の病院も受け入れを手助けしていただく必要がある」と話しています。

国内重症者数 今月倍増で過去最多に

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、国内の重症者が今月に入って2倍以上に増加しています。

厚生労働省によりますと、人工呼吸器や集中治療室などで治療を受けるなどしている重症者は23日の発表の時点で全国で331人と第一波の4月30日時点の328人を超えて過去最多となりました。

24日もさらに多くなって345人となりました。

都内 重症病棟を2倍へ

東京都によりますと都内では現在、新型コロナウイルスの▽中等症以下の患者用のベッドが2490床、▽重症患者用のベッドが150床、それぞれ準備されています。

このうち、24日現在、中等症以下のベッドには1532人が、重症者用のベッドには51人がそれぞれ入院しています。

都は、重症化リスクの高い高齢者の新たな感染が増えているとして、重症者用のベッドを現在の150床から2倍の300床に増やすことを視野に入れて、医療提供体制を強化することにしています。

都は、都内の医療機関に対し、必要な体制確保に向けて準備するよう今月16日付けで要請しました。

加藤官房長官「病床確保し体制整備を」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「重症者数は増加傾向が続いており、受け入れ病床に対する割合も上昇が続き、一部地域では高水準となっていると認識している。各都道府県では、地域の感染状況に応じ、計画に沿って病床の確保を進め、医療提供体制の整備に努めていただきたい。政府としては、引き続き、自治体と緊密に連携し、自治体の感染拡大防止に向けた取り組みをしっかりと支援していく」と述べました。