
バイデン氏 閣僚人事を発表 国務長官に側近のブリンケン氏
アメリカ大統領選挙で勝利を宣言した民主党のバイデン前副大統領は、来年1月の政権発足に向けて外交・安全保障を担う閣僚人事を発表しました。外交の要となる国務長官に側近のブリンケン元国務副長官を指名するほか、気候変動の問題を担当する大統領特使を新たに設け、ケリー元国務長官を起用すると明らかにしました。
アメリカ大統領選挙で勝利を宣言した民主党のバイデン氏は、23日、来年1月の政権発足に向けて外交・安全保障を担う閣僚と高官の6つのポストの人事を発表しました。
それによりますと、▽外交の要となる国務長官には、バイデン氏の長年の側近のブリンケン元国務副長官を、▽テロ対策などにあたる国土安全保障長官には、キューバ系アメリカ人のマヨルカス元国土安全保障副長官を指名するということです。
また、▽情報機関を統括する国家情報長官にはヘインズ元CIA副長官を、▽国連大使には、黒人女性のトーマスグリーンフィールド元国務次官補を指名するとしています。
さらに、▽国家安全保障問題を担当する大統領補佐官にはサリバン元副大統領補佐官を起用するほか、▽気候変動の問題を安全保障上の緊急の課題と位置づけ、担当する大統領特使を新たに設けてケリー元国務長官を起用すると明らかにしました。
今回、発表された6人は、バイデン氏が副大統領だったオバマ政権の時に、いずれも外交・安全保障の要職についていた元高官たちです。
また、バイデン氏は、次期政権の人事には女性やマイノリティーを登用し、アメリカの多様性を反映させたいとしていますが、今回も女性初の国家情報長官と中南米系初の国土安全保障長官が誕生するとアピールしています。
バイデン氏は24日に記者会見し、今回の人事のねらいなどを発表する予定で、トランプ大統領が選挙の敗北を認めない中でも、来年1月の政権発足に向けた準備を着実に進める姿勢を改めて示す方針です。
財務長官 女性初 イエレン氏 指名の見通し
就任すれば、女性として初めての財務長官になります。
イエレン氏は74歳の経済学者です。
おととしまで4年間、FRBのトップにあたる議長を務め、雇用状況を重視するなど、比較的、穏健な金融政策を推し進めました。
新しい財務長官にとっては、新型コロナウイルスの感染拡大で傷ついたアメリカ経済の立て直しが大きな課題となります。
就任すれば、女性として初めての財務長官で、バイデン氏が目指す多様性のある政権の象徴にもなりそうです。
バイデン氏の閣僚人事 特徴は
既成政治の打破を掲げたトランプ大統領が4年前、国務長官に外交経験のなかったティラーソン氏を指名したのとは対照的です。
バイデン氏としては、トランプ大統領が主導した「アメリカ第一主義」から、国際協調路線への回帰に向けて、過去の経験と知見にのっとった外交を目指す姿勢を鮮明にした形です。
最大の焦点は中国への対応ですが、いまや民主党内でも中国への警戒感は高まっています。
日米の外交筋も「オバマ政権の時より厳しい姿勢で中国に臨むのは間違いない」という見方を示していて、日本など同盟国にさらなる協力を求めるものと見られます。
EU 関係改善に強い期待
この中でミシェル大統領は、EUとアメリカはともに新型コロナウイルスへの対応や経済再建、気候変動など喫緊の課題に直面しているとしたうえで「今こそ力を合わせるときだ。ともに前進すれば、より効果を発揮する」として緊密な協力を呼びかけました。
そのうえで、来年、特別首脳会議を開いてバイデン氏を招き、共通の課題について議論する考えを明らかにしました。
また、NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長も、同盟関係や集団防衛の重要性についてバイデン氏と意見を交わし、来年予定されているNATO首脳会議などを通じてさらなる連携を進めることを確認しました。
ヨーロッパは、これまでトランプ大統領からEUが貿易黒字の削減を強く求められたり、NATO加盟国が「アメリカの安全保障にただ乗りしている」などと、防衛費引き上げの圧力をかけられたりして、アメリカとの間でぎくしゃくした状態が続いてきただけに、関係改善に強い期待を寄せています。
茂木外相「速やかに意思疎通を」
そのうえで、「バイデン次期政権のまわりには、それぞれの分野で、経験豊かで政策に精通している方々が多い。新体制や政策方針がどうなるか注目している」と述べました。