コロナ感染拡大のヨーロッパ クリスマス前に外出制限どうなる

新型コロナウイルスの感染拡大が続くヨーロッパでは、各国が来月上旬までとして、外出制限などの厳しい措置を続けています。クリスマスが近づく中、制限の緩和を求める声が高まっていますが、性急な緩和で感染がさらに広がる懸念もあり、各国政府は慎重な判断を迫られています。

感染拡大の状況は深刻化

ヨーロッパでは、今月に入って各国で1日に確認される感染者数がこれまでで最も多くなるなど、状況が深刻化しています。

このうちヨーロッパで感染者が最も多いフランスでは、今月6日に1日の感染者数が6万人を超えて、これまでで最も多くなったほか、イタリアでは13日に4万人を、イギリスでは12日に3万3000人を、オーストリアでも11日に9000人をそれぞれ超え、これまでで最も多くなっています。

重症化する人も増えていて、イタリアでは今月だけで1万人を超える人が亡くなったほか(21日まで1万643人)、先月と今月の2か月で、フランスでは、1万6000人を超える人が、イギリスでも1万2000人を超える人が、死亡しました。

各国の対策

感染状況の悪化に伴ってヨーロッパ各国は、先月から今月にかけて相次いで厳しい措置に踏み切りました。

【フランス】
フランスでは、先月17日からパリなど一部の地域で午後9時以降の夜間の外出を禁止し、30日からは全国で日中の外出も制限するなど、段階的に厳しい措置をとっています。

【イギリス】
イギリスでは、ロンドンのあるイングランドで今月5日から、市民の外出が制限されているほか生活必需品を扱う店を除いて、原則として小売店の営業が禁止されました。

【オーストリア】
オーストリアでも今月17日から市民の外出や人との面会が制限されたほか、生活必需品を扱う店を除いて店内に客を入れての営業が禁止され、学校も原則としてオンラインでの授業に切り替えられました。

【イタリア】
イタリアでは、今月6日から全国で夜間の外出が禁止されたほか、感染状況が最も深刻な北部ロンバルディア州や南部カンパーニャ州など8つの地域では日中も外出が制限され、飲食店や小売店は店内での営業が禁止されています。

各国の制限緩和 見通しは

一部の国では外出制限が始まってから、状況の改善をうかがわせるデータも出てきています。

消費が活発になるクリスマスを控え、各国で制限の緩和を求める声が高まっていますが、性急な緩和によって感染が再び広がることへの懸念もあり、各国政府は慎重な判断を迫られています。

【フランス・イギリス】
フランスでは、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」は、今月上旬に流行が拡大に向かうとされる「1」を下回ったほか、集中治療室の患者の人数も今月17日以降、減少に転じています。

またイギリスでも、イングランドで行っている外出制限などの措置を始めてからおよそ2週間で実効再生産数は下がり、現在は「1.0から1.1」となっています。

例年、クリスマスを控えて売り上げが伸びるこの時期に通常の営業をできない小売店からは、緩和を求める声が高まっています。

11月と12月の売り上げが年間の30%を占めるというパリ市内のおもちゃ専門店の経営者は、「最悪のシナリオは営業規制が続くことだ。このままだと1月には資金繰りが尽きて経営を続けられなくなる」と訴えていました。

フランス政府は、今月下旬にも小売店に対する営業規制の一部を緩める可能性を示唆していますが、外出制限は当初の期限の来月1日以降も続く見通しで、マクロン大統領が近く方針を発表する予定です。

イギリス政府も、来月2日までとしている措置を緩和するかどうか、週明けに発表する予定で、クリスマスを家族や友人とともに過ごすことができるのか、国民の関心が高まっています。

【オーストリア】
オーストリアでは、外出制限などの措置は来月6日まで実施される予定です。

クルツ首相は今後の感染者数や医療体制への負担を慎重に見極めながら、7日以降、学校や商店の再開を目指す考えを示しています。

来月からは、PCR検査に比べて、短い時間で結果が得られる「抗原検査」を大規模に行う計画で、学校の教師や警察官などから順次行い、最終的にはすべての市民に行うことを検討しています。

【イタリア】
一方、イタリア政府は、夜間の外出禁止や一部地域での日中も含めた外出制限について、今のところ解除の見通しを示していません。