中国 TPP参加に意欲 アジア太平洋地域の影響力 高めるねらいか

中国の習近平国家主席は20日、TPP=環太平洋パートナーシップ協定への参加を「積極的に検討する」と初めて表明しました。中国が直ちに参加することは難しいとみられますが、アメリカが離脱したTPPへの参加に意欲を示すことで、アジア太平洋地域での影響力を高めたいねらいがあるとみられます。

中国の習近平国家主席は20日夜、APEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議で、日本などが参加して、おととし発効したTPPについて、「加入することを積極的に検討する」と述べ、参加に前向きな態度を初めて表明しました。

中国は、アメリカのトランプ政権が保護主義的な政策を進めるなか、自由貿易を推進する姿勢を強調していて、今月15日には、東アジアを中心に15か国が参加する、RCEP=地域的な包括的経済連携で各国と合意しています。

ただ、TPPは、関税の撤廃率が高いことや、貿易や投資のルールについても、国有企業に対する行き過ぎた優遇措置の是正や知的財産の保護など、RCEPを含む、ほかの多国間貿易の枠組みより高い自由化を求める規定があり、中国が直ちに参加することは難しいとみられます。

中国としては、TPPを離脱したアメリカが、政権移行をめぐって政治的に不安定な状態にあることも念頭に、自由貿易を推進する姿勢をアピールすることで、アジア太平洋地域での影響力を高めたいねらいがあるとみられます。

台湾の閣僚「中国には比較的高いハードル」

中国の習近平国家主席が、TPP=環太平洋パートナーシップ協定への参加に意欲を示したことについて、以前からTPPへの参加を希望してきた台湾の閣僚が、けん制しました。

台湾の王美花経済部長は21日、出席した記者会見で、中国の知的財産権の侵害や政府の補助金などの問題を指摘し、「台湾はTPPの高い基準をすでに満たしているが、体制の面で、中国にとって、その基準は比較的高いハードルだ」と述べました。

台湾は、日本や中国、韓国など15か国が今月15日に合意した、RCEP=東アジアを中心とする地域的な包括的経済連携の枠組みから外れていて、「中国の圧力で参加できない」としています。

台湾としては、仮に、TPPにも中国が先に入って、みずからが締め出された場合、政治的にも経済的にも大きな打撃となるだけに、早期の参加が実現するよう、日本などへの働きかけを強めています。

専門家「アメリカの対中包囲網 切り崩す思惑」

中国の情勢に詳しい、神田外語大学の興梠一郎教授は、今回の習主席の発言について「アメリカがTPPから離脱し、大統領選挙後の混乱でリーダーシップが取れない状態となっているなか、中国が多国間主義や自由貿易を掲げることで、外交的なイメージを向上させ、主導権を握りたいねらいがある」と述べて、アメリカとの関係において主導権を握ろうという思惑があると分析しました。

そのうえで、「今月24日から、王毅外相が日本と韓国を訪問するように、諸外国と対話の機会を増やそうとしている。アメリカの同盟国との関係を強化することで、対中包囲網を切り崩す思惑がある。RCEPにしろ、TPPにしろ、アメリカが入っていない経済の枠組みを利用することがポイントで、先手を打ったと感じる」と指摘しました。

一方で、中国のTPPへの参加について、興梠教授は「TPPに加入するには中国の望まない条件があり、中国側の改革が何もないまま加盟国が参加を認めるようでは、システム全体が崩れてしまう。実際に加入できるかどうかは、これからの問題だ」と述べました。