プラスチックごみ減目指し 政府 制度設計急ぐ

世界的に環境汚染を引き起こしているプラスチックごみを減らすため、政府は、今後、取り組む施策を取りまとめ、関係するメーカーや販売業者に対し、使用済みのプラスチック製品の回収やリサイクルを促すことなどが盛り込まれました。

世界では年間におよそ800万トンのプラスチックごみが海に流れ出していると推計され、生態系に悪影響を及ぼすなど各地で深刻な環境汚染を引き起こしていて、各国が対策を進めています。

こうした中、20日開かれた環境省と経済産業省の合同の専門家会議で、政府として今後、取り組む施策が取りまとめられました。

このなかでは、プラスチックを使った製品をつくるメーカーなどに対し、製品の軽量化や、植物を原料とするプラスチックなど、代わりとなる素材への転換を促すほか、メーカーや販売業者が使用済みの製品の回収やリサイクルに積極的に貢献することが必要だとして、そのための環境整備に取り組むとしています。

また、小売業やサービス業に対しては、プラスチック製のストローやスプーンなどを提供する際、客に、必要かどうかの確認を徹底するなどして、過剰に提供することがないよう求めていくことにしています。

環境省などは、新たな法律を制定することも視野に、今回、取りまとめた施策を実現するための制度設計を急ぐことにしています。

すでに使用済みの製品の回収に取り組む企業も

プラスチック製品をつくるメーカーの中には、すでに使用済みの製品の回収やリサイクルに取り組んでいるところもあります。

大手日用品メーカーの「ライオン」は、社会貢献活動の一貫として5年前から使い終わった歯ブラシの回収を進めています。

全国の学校や企業などに協力を呼びかけて回収用の箱を設置してもらい、リサイクル会社や自治体に集めてもらう仕組みで、ことし9月末までに全国715の学校などが参加し、およそ73万本の歯ブラシを回収したということです。

回収した歯ブラシは、プラスチックでできた柄の部分を細かく砕き、高温で溶かして植木鉢にリサイクルしています。

事業実施には課題が

しかし、いま行っているのはあくまで社会貢献活動で、実際に事業として行っていくには課題があるといいます。

プラスチックはリサイクルすると強度が落ちるうえ、歯ブラシの柄にはさまざまな色が使われているため混ぜると濃い色にしかならず、用途が限られます。

また歯ブラシはメーカーによって、含まれるプラスチック樹脂の種類や量が違うため、質と量の両面で再生品を安定してつくりだすのが難しいということです。

さらに、消費者の間でリサイクルの意識が徹底され、一定の回収量に達しないと、事業としては成立しづらいといいます。

ライオンCSV推進部環境戦略室の千葉智也主任は、「実際に事業化する場合、歯ブラシをどんな製品に再生するかは難しい問題で、自社だけでリサイクルに取り組むのはコストの面でも非常に厳しい。ほかの企業や自治体などと技術開発と、回収の仕組み作りの両面で協力していきたい」と話していました。

日本で出たプラスチックごみ ハワイに漂着の例も

日本で出たプラスチックごみは6000キロ余り離れたアメリカのハワイ州にも漂着しています。

海の環境保護に取り組む地元のNPO法人が撮影した映像や写真からは流木などに混じって細かいプラスチックの破片が大量に漂着しているのがわかります。

日本のメーカーの名前が入ったビールケースなどが映っていて、スタッフによりますと、漂着するプラスチックごみの中には、日本などアジア各国で出たとみられるものも多いということです。

ハワイ在住のカメラマンで、このNPO法人の代表を務めている関口勇一郎さんは、「美しいハワイの海を守るため日々、海岸の清掃を行っていますが、日本から来たとみられるプラスチックごみを見つけることが多く、日本人としてさびしく感じます。ウミガメや魚がプラスチックごみを飲み込んでいるケースも数多く確認されていて、環境への影響はすでに出ていると思う。日本で暮らす人にはそのことを理解し、できるだけごみを出さないこと、そして、リサイクルの大切さを強く意識してほしい」と話していました。

専門家「政府はいつまでにどれだけ減らすか明確な目標を」

プラスチックごみの問題に詳しい大阪商業大学の原田禎夫准教授は、「プラスチックの過剰な使用が大きな問題だとはっきり示し、事業者の責任を拡大していく方向付けがされたことは非常に大きな意味がある」としたうえで、「製品の設計段階からリサイクルしやすいよう配慮することや、高額になりがちなリサイクル品が買い求めやすくなるような仕組みづくりも欠かせない。これまでは消費者や事業者の自主的な努力に委ねられてきたが、政府にはいつまでに、どれだけプラスチックごみを減らすという明確な目標を掲げることが求められる」と話していました。