「高齢者施設での発熱は必ず検査」厚労省 集団感染多発で通知

新型コロナウイルスの感染者の集団=「クラスター」が高齢者施設で相次いで発生していることを受けて、厚生労働省は入所者や介護職員に発熱などの症状が出た場合、必ず検査を行うよう全国の保健所に通知しました。

厚生労働省によりますと、今月16日までの1週間に全国で確認されたクラスターなどは合わせて153件で、このうち29件が高齢者施設で発生しています。

厚生労働省は、高齢者施設での検査を重点的に行うよう都道府県に求めていますが、一部の施設からは「保健所に検査を依頼しても応じてもらえない」といった声が寄せられているということです。

このため、厚生労働省は19日、全国の保健所に対し介護施設を利用する高齢者や職員の検査を徹底するよう都道府県を通じて通知しました。

具体的には
▽発熱などの症状が出た高齢者や介護職員には必ず検査を行い
▽感染が確認された場合は原則、全員を検査するよう求めています。

特に新規に感染した人の数が、1週間で人口10万人当たり10人を超えた都道府県では至急対応することとしています。

また、厚生労働省は、高齢者施設からの検査の求めに保健所が応じない場合、自費で検査をした施設に検査費用を補助する方針で、保健所にも必要に応じて対応を求めることにしています。

「クラスター早期探知を」都道府県などに求める方針

クラスターの発生が全国で相次ぐ中、厚生労働省は、クラスターを早期に発見するための情報を医療現場などから収集する「イベントベースドサーベイランス」と呼ばれる仕組みを整備するよう都道府県などに求める方針です。

この中では、医師や高齢者施設の管理者などから、「発熱している人や体調不良で休む人が多い」といった「現場での気付き」の情報などを集め、都道府県などに設置した協議会で共有します。

厚生労働省によりますと、把握されていない「潜在的なクラスター」の存在も指摘されていて、厚生労働省は保健所などが早い段階で介入して検査や積極的疫学調査などを行うことで、発見につなげたいとしています。

こうした仕組みは国際的にも推奨されているということで、厚生労働省は、具体的な運用方法などを検討したうえで、今月にも都道府県などに通知することにしています。