バイデン氏の政権移行 “円滑に行われず” 共和党内からも懸念

アメリカ大統領選挙で勝利を宣言した民主党のバイデン前副大統領はローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇と電話会談するなど、引き続き政権の移行に向けて準備を進めています。一方、トランプ大統領は依然として選挙の不正を訴えていますが、与党・共和党内からも政権移行が円滑に行われないと懸念する声も上がり始めています。

バイデン氏は11日、菅総理大臣や韓国、オーストラリアの首脳と電話で会談したのに続き、12日もローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇と電話会談し、地球温暖化対策や移民や難民の支援で協力したいと表明しました。

またバイデン氏は、閣僚をはじめとした政権の主要人事について側近と協議するなど政権移行に向けた準備を進めています。

ただ、アメリカメディアは、各国との電話会談も国務省の支援がなかったと批判的に伝えています。トランプ大統領が選挙の不正を訴えていることから政権移行に向けた支援が受けられていません。

民主党のペロシ下院議長は12日の記者会見で、「新型コロナウイルスの11日の感染者が14万人を超えてこれまでで最も多くなり、すでに24万人以上が亡くなっている。しかしトランプ大統領と共和党はこの数字を無視し、自分たちの責任を認識せず、アメリカが直面している医療と経済危機への対処を困難にしている。茶番はやめて、アメリカ人のために本当に重要なことをしていくべきだ」と述べ、トランプ大統領が敗北を認めて法廷闘争をやめ、新型コロナウイルス対策などに取り組むべきだと訴えました。

また会見に同席した民主党の議会上院トップ、シューマー院内総務は、「共和党は共通の敵であるウイルスに対応せずに、陰謀論を広げ、現実を否定し、民主主義を殺そうとしている。大統領選挙は終わったんだ。トランプ大統領が負けたという現実を受け入れるべきだ」と述べました。

一方、トランプ大統領は12日、ペンス副大統領やポンペイオ国務長官などと断続的に協議を行っていますが、公の場には姿を見せていません。ツイッターには、「不正な選挙だ」などと書き込みを繰り返していますが、裁判で各州の勝敗を覆すような進展はありません。

与党・共和党の一部からもバイデン氏が本来なら次期大統領に毎日行われる情報機関の報告を受けるべきだと公言する議員が出るなど政権移行が円滑に行われないと懸念する声も上がり始めています。