コロナ禍初詣 各地で対策 お札を郵送 キャッシュレスさい銭も

政府の分科会でも感染対策が示された初詣。各地の神社仏閣では、年内からの「分散参拝」など対策を進める一方、郵送やオンラインを活用するなどコロナ禍で初詣や参拝にも新しい様式を取り入れる動きがでています。

混雑が予想される初詣を前に、神社本庁では感染防止のためのガイドラインをまとめ周知しています。

この中では、参拝者が手を清める際に使うひしゃくの撤去や、3密を避けるため賽銭箱を複数設置すること、参拝の経路を一方通行にすることなどを例示して、対策を取るよう求めています。

こうした中、各地の神社では、三が日の混雑を避けるため、初詣の期間を12月から2月の節分までとしたり、参拝する場所を複数設けたりして、「分散参拝」を呼びかけているところもあります。

さらに、新型コロナウイルスを踏まえて、さまざまな場面で新たな生活様式が広がる中、神社仏閣でもオンラインや郵送の活用が広がっています。

例えば、参拝を控える人のため、家内安全や商売繁盛などの希望に合わせて事前に祈とうしたお札を郵送したり、オンラインでお札やお守りを授与できるようにしているほか、キャッシュレスでさい銭を受け付けるなど、コロナ禍で初詣や参拝にも新しい様式を取り入れる動きがでています。

露店を中止 代わりに“ちょうちん”でにぎわいを

毎年200万人以上が初詣に訪れるさいたま市の武蔵一宮氷川神社では、感染防止のため露店を中止し、代わりにちょうちんを用意するなど、コロナ禍の初詣にむけて準備を進めています。

武蔵一宮氷川神社では、来年の初詣の混雑を防ごうと、ことし12月から来年2月3日の節分までに分散して初詣に訪れてほしいと呼びかけていて、例年初詣の時期に配っているお札やお守りなども12月から授与できるように準備を進めています。

すでに境内では、感染防止のため、手を清める際のひしゃくを撤去し、授与所にはアクリル板を設置するなどの対策がとられています。

さらに1月には、3密を避けるために参拝の経路を一方通行とするほか、例年はおよそ2キロの参道に800店ほどが並ぶ露店も、来年の三が日は中止することを決めました。

参道の風景がさみしくなってしまわないよう、代わりに地元の人たちなどの寄付をもとに60センチほどの大きさのちょうちん、およそ2000個を飾ることに決め、12日も地元のボランティアが準備を進めていました。

武蔵一宮氷川神社の権宮司の東角井真臣さんは「感染対策に最善を尽くすことは参拝者の方にお約束したい。形は変わりますが気持ちの面では変わらないと思います。あまり悲観的にとらえずこれはこれでよかったねと、思えるように進めていきたい」と話していました。

祈とうしたお札を郵送する神社も

神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮では、参拝を控える人のために祈とうしたお札を郵送するなど、新しい様式を取り入れて対応することにしています。

鶴岡八幡宮では、感染防止のためすでに手水舎の使用を中止したりマスクの着用などを呼びかける看板を設置したりして対策を講じているほか、今後は境内にライブカメラを設置し、映像をホームページで公開することで、混雑状況をリアルタイムで配信するということです。

また初詣にむけて毎年多くの申し込みがあるという新年の祈とうについて、境内にある風通しのよい建物で対面で行う形式に加えて、参拝を控える人のために神社で祈とうしたお札を郵送する取り組みも行うことにしています。

専用の用紙で、「家内安全」「開運厄よけ」などと祈願したい内容を記して申し込むと、従来と同じ場所で祈とうしてもらえるということです。

今月4日から受け付け始めたところ、すでに郵送の依頼が届き始めているということで、来月15日までに申し込んだ人には、年内に届くよう準備を進めているということです。

鶴岡八幡宮では、従来から「初詣は節分まで」としているということで、混雑が予想される三が日以外に参拝してもらうことで、「密」を避けながら安全に参拝できる「分散初詣」を目指したいとしています。

鶴岡八幡宮の権禰宜の阿久津卓也さんは、「こちらでしっかりとご祈とうしたお札を送るので自宅でそのお札にお参りしていただければ神様のご加護は十分にあると思います。
参拝に来られない方もよい新年を迎えていただければと思います」と話していました。

“オンライン授与所”でお守りやお札を

東京・千代田区の神田明神では先月下旬からホームページ上に「オンライン授与所」を開設しています。

この中では、お守りやお札、それに玉串や絵馬など78種類が写真とともに掲載されていて、新型コロナウイルスなどの影響で直接参拝できない人でも、オンラインで求めることができます。

神田明神は「新型コロナウイルスの影響で参拝できない中でも神様に守られたいという方々の気持ちに応えられたら」と話しています。

来年の初詣や参拝 56%が「行く・おそらく行く」調査結果も

コロナ禍での初詣や参拝について民間の調査会社、「ゼネラルリサーチ」は全国の20代から60代の男女およそ1100人を対象にアンケートを行いました。

この中で、来年の初詣や参拝について聞いたところ、「行くと思う」、「おそらく行くと思う」と答えた人は合わせて56%、「行かないと思う」、「おそらく行かないと思う」と答えた人は44%でした。
また、感染拡大によりさまざまな場面でオンライン化が進んだことを受け、初詣や参拝に取り入れられたら体験してみたい項目を聞いたところ、「オンラインおみくじ」が29%、「キャッシュレスさい銭」が27%となりました。

3密を防ぐため、境内の各所に「キャッシュレスさい銭」を設ける対策については、「とても良い」、「どちらかといえば良い」と答えた人が57%と半数以上が肯定的でした。

また、これからの時代、初詣や参拝にも「新しい様式」を取り入れるべきか聞いたところ、「はい」と答えた人が53%となりました。

※小数点以下は四捨五入。