会計検査院 指摘件数が最少に 新型コロナで「実地検査」が制約

国の予算の使われ方を検査する会計検査院が昨年度の報告書をまとめ、不適切な公金の取り扱いがあったと指摘するなどした件数はおよそ250件で、新型コロナウイルスの影響で現場での「実地検査」が大きな制約を受けたことから、平成6年度以降最も少なくなりました。

会計検査院は、憲法に規定された内閣から独立した国の組織で、法律に基づいて毎年、国の予算が適切に使われているかなどを検査しています。

10日午前、会計検査院の森田祐司院長が総理大臣官邸を訪れ、菅総理大臣に昨年度の検査報告書を手渡しました。

報告書によりますと、不適切な公金の取り扱いがあったと指摘するなどした件数は248件、金額にして297億円に上りましたが、件数は平成6年度以降、金額は平成14年度以降最も少なくなりました。

これについて会計検査院は、新型コロナウイルスの影響で、検査業務の柱の1つである、各省庁や出先機関に直接出向いて行う「実地検査」が前の年と比べ4割以上減るなど、大きな制約を受けたことが背景にあるとしています。

会計検査院は「与えられた環境でベストを尽くしたが、今後、検査業務の効率化や新しい手法を拡充することで成果を挙げていきたい」と話しています。

加藤官房長官「予算編成などへも反映」

加藤官房長官は、午後の記者会見で「コロナ禍における検査という事情もあったと思うが、248件、297億円の不当事項などの指摘がされたことは、政府として、重く受け止めていかなければならない。報告を真摯(しんし)に受け止め、国民の信頼を取り戻すための取り組みを進め、内容の改善を確実に図っていくと同時に、来年度予算案の編成作業などへも的確に反映していきたい」と述べました。