第3次補正予算案 財政悪化の中 実体経済回復につなげられるか

菅総理大臣は、新型コロナウイルスの感染防止策の徹底と社会経済活動の両立を図りながら経済の持ち直しの動きを確かなものにするため、追加の経済対策を盛り込んだ今年度の第3次補正予算案の編成を指示しました。政府が第3次補正予算案の編成に乗り出すのは、切れ目のない支援策で景気を下支えすることがねらいですが、財政状況は一段と悪化しているだけに、いかに効果的な施策に予算を配分し、実体経済の回復につなげられるかが問われます。

日本経済は、新型コロナウイルスの影響で、ことし4月から6月までのGDP=国内総生産の伸び率が実質で年率マイナス28.1%と、歴史的な落ち込みとなりました。

今月16日には、7月から9月までのGDPの速報値が公表されますが、民間の調査会社などの予測では、大幅に改善するものの、感染拡大前の水準までは戻らないと見込まれています。

また、アメリカやヨーロッパでは感染が再び拡大していて、世界経済の先行きは不透明感が強まっています。

こうした状況を踏まえて、政府は景気の下支えには切れ目のない支援策が欠かせないとして、今年度の第3次補正予算案と来年度予算案を合わせて「15か月予算」の考え方で編成にあたります。

この中では、
▼新型コロナの感染拡大の防止策をはじめ、▼デジタル化の推進、▼温室効果ガスの削減、▼雇用対策、▼防災対策などに関わる施策が検討されています。

歳出規模は過去最大 すでに財源の50%超を国債に頼る

政府の今年度の一般会計の歳出規模です。
▼当初予算の時点で過去最大の102兆6000億円余りに上り、
さらに
▼第1次補正予算で25兆6000億円余り、
▼第2次補正予算で31兆9000億円余りを追加で支出したことで、
1年間の歳出規模も過去最大の160兆円余りに膨らみました。

その財源として発行した国債は、
▼当初予算では32兆5000億円余り、
▼第1次補正予算で25兆6000億円余り、
▼第2次補正予算で31兆9000億円余りに上り、
今年度の発行総額はすでに90兆円を超えています。
今年度の予算全体では歳入の56.3%を国債に頼る過去最悪の状況です。

さらに、今年度の税収は景気の悪化で法人税などが減り、当初の見込みより大幅に目減りする見通しで、財政状況はさらに厳しくなることが予想されます。

このため、予算の編成にあたっては、新型コロナウイルスで打撃を受けた個人や企業などにいかに効果的に予算を配分し、実体経済の回復につなげられるかが問われています。