菅首相 3次補正予算案編成指示 感染防止と社会経済活動両立を

菅総理大臣は、新型コロナウイルスの感染防止策の徹底と社会経済活動の両立を図りながら経済の持ち直しの動きを確かなものにするため、追加の経済対策を盛り込んだ今年度の第3次補正予算案の編成を指示しました。

菅総理大臣は、10日の閣議で、当面の経済財政運営について、新型コロナウイルスの感染防止策の徹底と社会経済活動の両立を図りながら経済の持ち直しの動きを確かなものにする必要があるという認識を示しました。

そのうえで、感染拡大防止策と、デジタル改革やグリーン社会の実現など、ポスト・コロナに向けた経済構造の転換や好循環の実現、それに、防災・減災と国土強じん化の推進を3本の柱として、追加の経済対策を取りまとめ、今年度の第3次補正予算案を編成するよう指示しました。

また、補正予算案と来年度予算案の編成作業を並行して進め、経済対策を2つの予算案に盛り込み、いわゆる「15か月予算」とすることで、来年度にかけて切れ目なく対策を講じるよう求めました。

西村経済再生相「成長力強化につながる総合的対策を」

西村経済再生担当大臣は、記者会見で、「与党の意見も伺い、経済財政諮問会議の議論を踏まえながら、成長力の強化につながるような予算、税、規制改革を総動員した総合的な対策を取りまとめたい」と述べました。

麻生副総理・財務相 メリハリついた予算編成を

麻生副総理兼財務大臣は閣議のあとの記者会見で「ポストコロナに向けて、経済の持ち直しの動きを確かなものとし、民需主導の成長軌道に戻していくため、新たな経済対策を策定するよう指示があった」と述べました。

第3次補正予算案の規模については「言える段階にはない」と述べる一方、「自動車に限らず、民需が回復している業界も多い現状を見ると、これを計算に入れたうえで、民需主導の回復をやっていかないといけない」と述べ、政策の内容や効果を見極めてメリハリのついた予算を編成したいという考えを示しました。

加藤官房長官「経済対策打ち 補正予算で対応は自然」

加藤官房長官は閣議のあとの記者会見で、第2次補正予算に盛り込まれた予備費について、「新型コロナウイルスの対応が長期戦となることを見据え、状況の変化に応じ、臨機応変に、時機を逸することなく対応する必要があったことから計上したもので、現在およそ7.3兆円が残されている」と述べました。

そのうえで「今回の総理指示は、感染拡大を抑えながら雇用と事業を支えるとともに、ポストコロナに向け、経済の持ち直しの動きを確かなものとし、民需主導の成長軌道に戻していくという新たな考え方のもと、パッケージとして対策を講じようとするもので、経済対策を新たに打ち、補正予算によって対応していくことは自然だ」と述べました。

梶山経産相「経営続けられる対策のメニューそろえたい」

梶山経済産業大臣は、今年度の第3次補正予算案の編成について、閣議のあとの記者会見で、「中小企業に関してポストコロナ、ウィズコロナの時代に合わせた仕事の在り方へと業務を転換させることも含めてしっかりと対応したい。当面苦しんでいる人には手を差し伸べなくてはならず、融資や資本性の資金の提供など、経営が続けられるような対策のメニューをそろえていきたい」と述べました。

また、梶山大臣は「2050年までに温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにするカーボンニュートラルは、今の技術では実現できず、かなり大きな技術の開発や転換が必要であり、ビジネスにもつながる」と述べ、「脱炭素」の推進に向けた政策も重点的に検討する考えを示しました。

自民 二階幹事長「できるだけ思い切ったことができるように」

自民党の二階幹事長は記者会見で、「対処しなければいけない課題はたくさんあり、積極的に取り組みたい。予算規模はまとめている最中だが、財政全体をにらみながら、できるだけ思い切ったことができるようにしたい」と述べました。
また、国土強じん化に必要な予算の計上については、「政府としての明確な考えを国民全体に知らせるという意味での予算編成を期待する」と述べました。

自民党の下村政務調査会長は、補正予算案の編成に向けた党の提言を今月27日にまとめるため各部会で内容を検討するよう指示しました。
そのうえで「骨太でパンチの効いた対策を大胆に検討してもらいたい。新型コロナ対策のほか、デジタル改革やグリーン社会の実現、国土強じん化などを通じ、社会全体が活力を取り戻すよう取り組んでいきたい」と述べました。

自民党の世耕参議院幹事長は記者会見で、「GDP=国内総生産や年明けからの雇用状況などを考えると、30兆円規模が必要だ。雇用の確保が極めて重要であり、最新の経済データなども含めて、しっかり政府側で議論してほしい」と述べました。

立民 枝野代表「予備費残っている 速やかに強力な施策を」

立憲民主党の枝野代表は党の常任幹事会で、「政府は第3次補正予算案の検討を始めたようだが、2次補正で積んだ予備費がまだ7兆円近く残っている。予算は組んでも実際の執行は相当先になるので、まず年末に向けて感染をどう抑えていくのかや、ひとり親世帯などをはじめとしたギリギリの状態の皆さんに、速やかに強力な施策を打つなど、今できることをしっかりやるよう、強く求めていきたい」と述べました。

公明 山口代表「力強い経済対策を策定したい」

公明党の山口代表は記者会見で、「来週にも発表されるGDP=国内総生産の速報値なども見ながら、可及的速やかに要望をまとめ、月内に政府に提出したい。感染防止対策と社会経済活動が両立できるよう、力強い経済対策を策定していきたい」と述べました。
そのうえで、「持続化給付金や雇用調整助成金の拡充などを幅広く検討するとともに、防災・減災対策も次の5年間ぐらいを見て、思い切った予算の確保を要求していきたい」と述べました。