WHOテドロス事務局長「緊密連携楽しみ」バイデン勝利宣言受け

アメリカのトランプ政権が脱退を通知したWHO=世界保健機関のテドロス事務局長は、大統領選挙で脱退を撤回すると表明していた民主党のバイデン前副大統領が勝利を宣言したことを受けて、「緊密に連携していくことを楽しみにしている」と述べ、今後の協力に期待を示しました。

新型コロナウイルスへの対応などを議論するWHOの年次総会は9日、194の加盟国が参加してテレビ会議形式で始まりました。

この中でテドロス事務局長は、アメリカ大統領選挙でバイデン氏が勝利を宣言したことを受けて、「緊密に連携していくことを楽しみにしている」と述べ、今後の協力に期待を示しました。

WHOをめぐっては、トランプ大統領は「中国寄りだ」との批判を繰り返し、ことし7月、脱退を正式に通知しましたが、バイデン氏は選挙戦で政権を奪還すれば、就任後すぐに脱退を撤回すると表明していました。

テドロス事務局長は、「パンデミックを終わらせ、世界の多くの課題の根源に横たわる不平等を解決するため、リーダーシップを再構築し、お互いの信頼関係を築かなければならない」と述べ、これまでWHOと距離をとってきたアメリカを念頭に、加盟国の結束を呼びかけました。

WHOの年次総会は14日まで開かれ、WHOや各国の新型コロナウイルスへの対応を検証している独立委員会が中間報告を行うことにしています。

台湾 WHO年次総会 オブザーバー参加認められず

WHO=世界保健機関の年次総会には、加盟していない台湾がオブザーバーとしての参加を目指し、外交関係のある中南米の国なども参加を求める提案をしていました。

しかし総会の議長は9日、加盟国の間で行った非公開での協議の結果、この提案の議論は行わないことになったと述べ、台湾の参加は認められませんでした。

台湾のオブザーバー参加は、アメリカや日本などが支持した一方、中国が強硬に反対しました。

台湾の外交部は、「台湾のWHOへの参加を中国が妨害し、2350万人の台湾の人たちの健康や人権をWHOが無視し続けている」として、強い不満を表明しています。

中国「台湾関連の提案は必ず失敗」

WHO=世界保健機関の年次総会で台湾のオブザーバー参加が認められなかったことについて、中国外務省は「『1つの中国』の原則は揺るがすことができないものであり、台湾関連の提案は人心を得られず、必ず失敗に終わるということを十分に示している」という談話を発表しました。

その上で、「民進党当局には感染症対策の名を借りた政治操作をやめ、これ以上みずから恥を招くことがないよう忠告する」として、台湾の民進党政権を批判しました。