バイデン前副大統領が勝利宣言「分断ではなく結束を」

バイデン前副大統領が勝利宣言「分断ではなく結束を」
アメリカ大統領選挙で当選確実と伝えられた民主党のバイデン前副大統領は演説して勝利を宣言し、「分断ではなく結束を目指す大統領になる」と述べて国民の融和を訴えました。しかし、トランプ大統領は選挙で不正が行われたとして、法廷闘争を続ける姿勢を示していて、今後の対応や支持者の動向が焦点になっています。
3日に投票が行われたアメリカ大統領選挙はトランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領が激しく競り合い、各州での開票作業が進む中現地の主要メディアは、バイデン氏が当選を確実にしたと一斉に報じました。
これを受けてバイデン氏は7日夜、日本時間の8日午前、地元デラウェア州で演説を行い、「この国の人たちがもたらした明白な勝利だ。人々の勝利だ」と述べて勝利を宣言しました。

そのうえで、「私は分断ではなく結束を目指す大統領になる。トランプ大統領に投票した人の失望も理解できる。激しい言葉をやめ、相手を敵視するのはやめよう。みなアメリカ人なのだ。今こそアメリカを癒やすときだ」と述べて国民の融和と団結を訴え、新型コロナウイルス対策など、来年1月の政権発足に向けて準備にとりかかる考えを明らかにしました。

バイデン氏は当選が確定すれば、来年1月に第46代大統領に就任して民主党が4年ぶりに政権を奪還し、トランプ政権は1期4年で終わることになります。

バイデン氏は11月20日に78歳の誕生日を迎え、大統領に就任すれば2017年に当時70歳で就任したトランプ大統領の記録を更新してアメリカ史上、最高齢の大統領となる一方、トランプ大統領は1992年の選挙で当時の共和党のブッシュ大統領が敗れて以来、28年ぶりに2期目の再選を果たせなかった大統領となります。
バイデン氏に先だって副大統領候補のハリス上院議員も演説し、「私は副大統領になる初めての女性かも知れないが、最後ではない」と述べて、アメリカは可能性の国だと強調しました。

トランプ大統領「まだ終わっていない」

一方、トランプ大統領はバイデン氏の当選確実の報道を受けて声明を発表し、「大統領選挙はまだ終わっていない」と訴えました。

さらにツイッターに「私は7100万の合法な票を獲得し、選挙に勝った」と投稿して敗北を認めず、みずからが勝者だと主張しました。

トランプ大統領は選挙で不正があったとして、週明け以降、法廷闘争を本格化させる考えを示していて、今後の対応や、支持者の動向が焦点になっています。

トランプ大統領の弁護士「裁判所が勝者を決める」

トランプ大統領の顧問弁護士のジュリアーニ氏は記者会見を開き、「大統領が負けを認めることはない。不正が行われているからだ。メディアが勝者を決めるわけではない。裁判所が決めるのだ」と述べて、トランプ大統領がメディアの当選確実の報道を受けて敗北を宣言することはないという見方を示した上で、訴訟を起こして対抗する姿勢を明確にしました。

専門家「日米関係大きな変化なし」

アメリカ大統領選挙で民主党のバイデン前副大統領の当選確実が伝えられたことを受けて、元外交官で立命館大学客員教授の宮家邦彦氏は、今後の日米関係について「大きな変化はなく、予測可能性が高まるのでやりやすくなるのではないか」という見解を示しました。

宮家氏は、今後の日米関係について、「日米関係は、基本的にインド太平洋地域が自由で開かれていてルールに基づく活動が行われているというのが共通の利益なので、その共通の利益があるかぎり、誰が大統領になっても大きな変化はないと思う」と述べました。

そして、「変化があるとすれば、アメリカ側が関係省庁との連絡を取りながら政策を積み上げるよりオーソドックスなやり方に変わるくらいだろう。日米は何十年もつきあっており、ある程度、やり方もわかっているので、あまり心配していない」という見方を示しました。

その上で、日米両首脳の関係について、「バイデン氏は国際協調や同盟国の重要性を考えている人なので、日本としては予測可能性が高まるという意味でやりやすいのかもしれない。首脳どうしの個人的関係もさることながら、話す中身とお互いの信頼関係が大切なので、奇をてらわない形でつきあいができると思う」と述べ、中国との関係や北朝鮮の問題などさまざまな外交課題について共通の理解を確認した上で地道に話し合いを続けることが大切だと指摘しました。

ホワイトハウス近くでは喜びの声

民主党のバイデン前副大統領の当選が確実になったことが伝えられると、ホワイトハウス近くの広場には人々が集まり、喜びの声を上げました。

首都ワシントンで教員を務めるという女性は「先ほど、携帯の通知を見てバイデン氏が勝利したと知りました。アメリカにとってすばらしい日になりました」と話していました。

隣接するメリーランド州から家族と訪れたという男性は「やっとアメリカがどんなにすばらしい国かを証明することができました。記念するべき瞬間です」と話していました。

オバマ前大統領「彼にチャンスを」

歴代の民主党の元大統領たちがツイッターに相次いでメッセージを投稿しました。

このうちオバマ前大統領は声明をツイッタ-に投稿し「今回の選挙は、前例のない状況下で、かつてない数の人たちが投票した。全ての票が数えられたら、バイデン氏とハリス氏の歴史的で決定的な勝利となるだろう」と述べ、祝福しました。

また「バイデン氏は大統領に就任したあと、猛威を振るう新型コロナウイルスや民主主義の危機、気候変動リスクなど、多くの困難に直面することになる」と述べました。

そして選挙の結果がアメリカの深い分断を示しているとした上で、「バイデン氏は、彼に投票した人であろうとなかろうと、すべてのアメリカ人の最善の利益のために尽くすだろう。このため、私は全てのアメリカ人に、彼にチャンスを与え、手を貸すように促したい」と述べました。

クリントン元国務長官「アメリカの新たな1ページ」

前回の大統領選挙で、トランプ氏と争った民主党のヒラリー・クリントン氏は7日、ツイッターに「有権者たちは話し合い、バイデン氏とハリス氏を次の大統領と副大統領に選びました。これは歴史を作る切符で、トランプ氏への否定と、そしてアメリカの新たな1ページです。実現させたすべての人たちに感謝します」と投稿しました。

共和党からも祝福の声

共和党の関係者もツイッターで祝福のコメントを投稿しています。このうちミット・ロムニー上院議員は「大統領に選ばれたバイデン氏、副大統領に選ばれたハリス氏にお祝い申しあげます。2人が善良で称賛すべき人物であることは知っています。彼らのこれからに神のご加護がありますように」とコメントしています。

また、2001年から大統領を務めたブッシュ元大統領の弟で、元フロリダ州知事のジェブ・ブッシュ氏は「大統領に選ばれたバイデン氏へ、おめでとう。あなたの成功を祈っている。いまは深い傷を癒やす時だ。あなたが導いてくれることを多くの人たちが期待している」と投稿しました。

ジェブ・ブッシュ氏は2016年の大統領選挙に向けた候補者選びで共和党から立候補し、トランプ大統領と戦いました。

ブッシュ元大統領「すべてのアメリカ人のための大統領に」

2001年から2期8年間大統領を務めた共和党のブッシュ元大統領は8日、声明を発表し、「バイデン氏と話して祝意を伝えた。政治的な立場の違いはあるが、この国をリードし結束させる機会を勝ち得たバイデン氏はすばらしい人間だ。すべてのアメリカ人のための大統領になるとしているバイデン氏の成功を祈っている」と述べました。

また、トランプ大統領については、「7000万人ものアメリカ人から票を集めたことはすばらしい政治的成果だ。トランプ大統領には、法律にもとづいて再集計などを求める権利はある」としています。

しかし、「この国が直面する問題には次期大統領のバイデン氏と次期副大統領のハリス氏の最大限の力が必要となる」としています。