アメリカ大統領選 最終盤の選挙戦 激戦州を中心に集会や演説

来月のアメリカ大統領選挙で再選を目指すトランプ大統領と、政権奪還を目指す民主党のバイデン前副大統領は、選挙の結果を左右する激戦州を中心に集会や演説を行っていて、選挙戦は最終盤に入り、さらに熱を帯びています。

来月3日のアメリカ大統領選挙に向けた最後のテレビ討論会から一夜が明けた23日、トランプ大統領は激戦州のフロリダ州で演説し「昨夜は『ねぼけたジョー』と楽しい討論だった」と述べ、バイデン氏を挑発しました。

そのうえで、「バイデン氏は腐敗しているだけでなく、うそつきだ。シェールガスなどの採掘は認めないとずっと主張してきたのに、そんなことは言っていないと言っている」と述べ、バイデン氏の主張が一貫していないと批判しました。

トランプ大統領は、この土日に激戦州のノースカロライナ州など4つの州を回るほか、月曜日からも多い日には一日3回、大規模な集会を開き、支持を訴えることにしています。

一方、バイデン氏は23日、地元のデラウェア州で演説し、「国民を守るために仕事をする大統領が必要だ。私は約束を守る。どのような立場の国民の声も聞く」などと述べ、政権交代の実現を訴えました。

24日には、バイデン氏が激戦州のペンシルベニア州に入るほか、オバマ前大統領やサンダース上院議員がそれぞれ激戦州を訪れ演説を行う予定で、人気がある2人の応援も得て、支持を固めようとしています。

来月3日の投票日が迫るなか、選挙戦は最終盤に入り、さらに熱を帯びています。

全米世論調査はバイデン氏リード

アメリカの政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス」によりますと、全米を対象にした世論調査の支持率の平均値は、23日時点で、
▽バイデン氏が50.7%、
▽トランプ大統領が42.8%と、
バイデン氏が7.9ポイントリードしています。

米専門家「両候補とも前回よりずっとうまくふるまった」

アメリカ大統領選挙のテレビ討論会について、大統領選挙に詳しいジョージ・ワシントン大学のゲーリー・ノードリンガー教授は「両候補とも前回よりずっとうまくふるまい、間違いも犯さなかった。トランプ大統領は、バイデン氏の次男のウクライナ企業との取り引きを取り上げたのに対しバイデン氏はトランプ大統領が税金を適切に納めていないと攻め、有権者の期待に応えた」と述べ両候補とも自分に投票を検討している有権者にアピールできたと評価しました。

そのうえで今後の選挙戦について、ノードリンガー教授は「トランプ大統領の支持者には今まで見たことがないような熱意があるので、トランプ大統領が勝っても4年前ほどの驚きではない。大統領を支持する有権者は、世論調査では支持していると認めない傾向があるので、『投票先を決めていない』と答えた人なら、トランプ大統領に投票する可能性が大いにある。トランプ大統領が勝つ可能性はまだある」と述べ、世論調査の支持率でリードされるトランプ大統領が巻き返す可能性はあると指摘しました。

その一方で、バイデン氏については、「討論会で明確に答えなかったり、うろたえているように見えたりしたこともあり、高齢過ぎるという印象が強まったかもしれない。バイデン氏は有権者の熱意を高めるよう努め、投票を呼びかけていくことになるだろう」と指摘しました。

そして、「焦点は、激戦州で、まだ投票先を決めていないごくわずかの有権者だ。バイデン氏はペンシルベニア州やノースカロライナ州、フロリダ州で大幅なリードがあるわけではない」と指摘し、まだ投票先を決めていない人たちの票の行方が勝敗を左右するという考えを示しました。