ハロウィーン「渋谷に来ることは自粛を」区長が異例の呼びかけ

東京 渋谷区の長谷部健区長は、来週末のハロウィーンを前に記者会見を開き、例年、ハロウィーンの時期に渋谷駅周辺が大勢の若者らで混雑することからことしは新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、「渋谷に来ることは自粛してほしい」と異例の呼びかけを行いました。

東京 渋谷区では毎年、ハロウィーンの時期に渋谷駅周辺に大勢の若者や外国人が集まり、トラブルなどが起きていて、来週末となった、ことしのハロウィーンを前に長谷部区長が記者会見を開きました。

この中で長谷部区長は「ことしは、コロナウイルスが拡大し、密を避けなければならない。イベントも自粛される中で、安心安全を確保するために、渋谷に来ることは自粛してほしい」と、異例の呼びかけを行いました。
そのうえで、渋谷に来なくてもハロウィーンを楽しむ方法として、インターネット上に渋谷の街を再現した仮想空間、「バーチャル渋谷」を使って楽しむ方法を紹介したり、ハロウィーン当日に行われるオンラインの音楽フェスティバルに参加することなどを呼びかけたりしました。

長谷部区長は「仮装をするかしないかは関係なく、夜通し騒いだり、路上で酒を飲んだりすることは慎んでほしい。来なくても、渋谷を感じていただけるよう工夫したので、ことしは、自宅などで楽しんでほしい」と話していました。

ことしはこう変わる

渋谷区ではハロウィーンを目的とした来訪の自粛を呼びかける立場を鮮明にするため、去年までと異なる対応をとることにしています。
具体的には、去年まで設置していた仮設トイレや着替えのためのスペースをことしは設置しません。
また、今後はJR渋谷駅前などに「HOME HALLOWEEN」や「外出自粛」などと書かれた看板や旗を掲げて、自宅でハロウィーンを楽しむよう呼びかけることにしています。

一方で、こうした呼びかけを行ってもハロウィーンを目的に渋谷を訪れる人に備えるため、およそ1億円をかけて警備態勢などを強化するほか、区内の42の酒の販売店に31日の午後6時から翌11月1日の午前5時までの間、酒の販売を自粛するよう呼びかけています。

ゴミ袋は“かぼちゃ”から透明に

ハロウィーンの時期に来訪自粛を呼びかける渋谷区では、街の雰囲気を控えめにしようと、ことしはこれまでとは異なる対策がとられることになりました。

毎年、ハロウィーンの時期には、渋谷区や地元の商店街などとつくる実行委員会がゴミ拾いのボランティアや、渋谷を訪れた人たちにハロウィーンにちなんで、かぼちゃをくりぬいて作った飾り物をイメージしたオレンジ色のゴミ袋を配っていました。

しかし、ことしはこのごみ袋の配布を中止し、代わりに無色透明のごみ袋を1万枚ほど用意することにしました。

渋谷区環境整備課の森田一央課長は「去年までは節度あるハロウィーンを呼びかけるためカボチャのごみ袋を用意していました。しかし、ことしは自粛を呼びかけているので透明のごみ袋にしました。もう、お祭り気分ではありません」と話していました。

ごみ・路上飲酒などトラブル相次ぐ

毎年、ハロウィーンの時期に大勢の若者や外国人が集まる渋谷区ですが、区が主催するイベントはなく、毎年、非日常的な雰囲気を楽しもうと自然発生的に人が集まってきます。

毎年、渋谷区に集まるのは、数万人とも言われ、10月31日のハロウィーン当日だけでなく、直近の週末にも大勢の人が集まり、渋谷駅前のスクランブル交差点周辺は身動きがとれないほど混雑します。

騒音や大量のごみ、それに路上での飲酒などのトラブルも相次ぐことから、区では、警備費など、ハロウィーンに関する対策費として、去年初めておよそ9000万円の予算を計上しました。

渋谷区が対策を始めたのは平成27年。

若者を中心に駅や商業ビルのトイレが仮装する人であふれ、周囲の壁や床が血のりで汚されるなど、苦情が寄せられたのがきっかけでした。

近くの公園に着替えやメイクをする専用のテントを用意するなどの対策をとってきましたが、2年前にはハロウィーン直前の週末に、軽トラックが横転させられる事件が起きたほか、酒に絡むトラブルもなくならないことから、区は去年、ハロウィーンの当日などの路上や公園での飲酒を禁止する条例まで制定し、対策を強化してきました。