新型コロナのワクチン ブラジルで臨床試験の参加者が死亡

ブラジル政府は21日、開発中の新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験に参加していた男性が死亡したと発表しました。政府は詳細を明らかにしていませんが、地元メディアは関係者の話として、男性は開発中のワクチンとは別の薬剤を投与され、新型コロナウイルスに感染して死亡したと伝えています。

ブラジルの保健規制局は21日、イギリスの製薬大手アストラゼネカとオックスフォード大学が共同で開発を進めている、新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験で、参加していた男性1人が今月死亡したと発表しました。

地元メディアなどによりますと、亡くなったのはリオデジャネイロの28歳の医師で、ことし7月から被験者として参加していましたが9月、新型コロナウイルスに感染し、今月亡くなったということです。

また、地元紙「グロボ」は関係者の話として、男性には試験の一環として、見た目は同じですが、開発中のワクチンではない別の薬剤が投与されたと伝えています。

ブラジル当局は詳しい内容を明らかにしていませんが、アストラゼネカはNHKの取材に対し、個別のケースにはコメントしないとしたうえで「医療上の問題が起きた場合、規制当局などが評価を行うが、試験の継続が懸念される状況には至っていない」としています。

オックスフォード大学も臨床試験の安全性に問題はないとしているほか、ブラジル政府も試験の継続を認める考えを示しています。

ブラジルでは6月から、臨床試験に参加するボランティアを募集し、アストラゼネカなどの試験には5000人以上が参加したということです。

「企業と協議し対応を」官房長官

加藤官房長官は22日午前の記者会見で「現在、厚生労働省が企業から詳細な報告を求めていると聞いており、企業と協議しつつ適切な対応をしていくと思う。有効性や安全性をしっかり確認することを大前提として、来年前半までに、すべての国民に供給できる数量のワクチンの確保を目指して、引き続き厚生労働省を中心に取り組んでいきたい」と述べました。