道路陥没 地下深くでトンネル工事 因果関係不明 原因調査へ

道路陥没 地下深くでトンネル工事 因果関係不明 原因調査へ
k10012670771_202010191950_202010192128.mp4
18日、東京 調布市の住宅街で道路が幅5メートルにわたって陥没しているのが見つかりました。
付近の地下深くでは東日本高速道路がトンネルを建設する工事を行っていて、19日夕方、東日本高速道路の担当者や専門家が会見を開き、工事との因果関係はわからないとしたうえで、原因が究明できるまでは再開しない方針だと明らかにしました。
会社が専門家の意見を聞いて陥没との関係を調査することにしています。
18日午後、東京 調布市東つつじヶ丘2丁目の住宅街で住宅の前の道路が突然陥没し幅5メートル、長さ2メートル、深さ5メートルほどの穴があきました。

現場付近では、大深度地下と呼ばれる地表から40メートル以上の地下で東日本高速道路が「東京外かく環状道路」の建設工事を行っていて、会社によりますと先月中旬にトンネルを掘削する大型の機械が通過したということです。

因果関係わからず 究明できるまで再開しない方針

東日本高速道路の担当者や専門家が19日夕方、会見を開き、トンネルの施工方法の検討会の専門家で早稲田大学の小泉淳委員長は「因果関係があるか、はじめからそこに空洞があったかはこれから調べないといけない。断定するのはまだ早い。ただ因果関係はないとは言えないし急に落ちるとは思えない」と述べました。

また、東日本高速道路 建設事業部の加藤健治部長らは「地下深くのトンネル本体にひび割れや漏水は確認されておらずトンネル本体の破損は確認されていない」と述べ、因果関係はわからないという考えを説明しました。

今後、陥没が起きた場所の地盤の状況を確認する必要があるとして、ボーリング調査などを進め原因を究明することにしていて、原因が究明できるまでは工事を再開しない方針だと明らかにしました。

東日本高速道路 住民への対応は

また、東日本高速道路は掘削工事を進めている地下のトンネルの真上で陥没が発生したことから、因果関係がわからないとしたうえで、念のため周辺の30世帯の住民に避難を呼びかけました。
道路の応急復旧が終わったことから現在、避難している住民はいないということです。

これについて建設事業部の加藤健治部長らは「住民の方には、ご迷惑をおかけしている。元の生活に早く戻れるよう原因究明に向けた対応を進めたい」と述べました。

また、陥没現場周辺の住民から、1か月前から住宅にひび割れがあるなどの通報が数件あったということを明らかにしたうえで「具体的に何件の申し出があったかは取りまとめ中で回答できない。申し出があった家には訪問して現地確認するなどの対応をしていたが、工事との因果関係があると直接結び付けられておらず、まだ工事途中ということで調査にとどまっていた」と話していました。

今後、陥没した場所や周辺の道路の状況については重点的に監視を続けることにしていて、もし道路に異変があった場合は迅速に対応するとしています。

関越道~東名高速の間 地下深くで建設進む

「東京外かく環状道路」=「外環道」は首都圏の環状道路の一つで都心の渋滞緩和などを目的に東京 埼玉 千葉を環状に結ぶ6車線、全長85キロの高規格幹線道路です。

このうち関越自動車道と東名高速道路の間、東京都内の南北およそ16キロの区間は「大深度地下」と呼ばれる地表から40メートル以上の深さの地下で建設が進められています。
建設は平成29年2月に南側の
▽東京 世田谷区にある東名高速道路の東名ジャンクションから北に向かって始まり、狛江市、調布市の地下を進んでいます。

建設の方法はシールドマシンと呼ばれる地中を掘削する直径およそ16メートルある国内最大の大型機械で穴を掘り、土をかき出してトンネルの壁を取り付けながら進んでいくというものです。
平成31年からは北側の
▽東京 練馬区にある関越自動車道の大泉ジャンクションからも工事が始まっています。

先月中旬 道路陥没の住宅街地下を掘削

今回、道路が陥没した住宅街の下を含む周辺では現在「東京外かく環状道路」の建設が進められています。

東京都内の練馬区から世田谷区にかけては、「大深度」と呼ばれる地表から40メートル以上の深さの地下で道路の建設が行われていて、世田谷区にある東名高速道路の東名ジャンクションから北に向かって始まり、狛江市を通って、調布市の道路が陥没した住宅街の地下に到達したのは先月中旬でした。
その後も掘削を続け、さらに100メートルほど進んだあと、18日、地表の住宅街で陥没が発生しました。

「大深度地下」とは

「大深度地下」とは地表から40メートル以上の深さの地下のことで※、地下を効率的に利用できるように法律で定められています。

通常は利用されないと考えられる深さであることから、開発する際には基本的に用地買収や土地の所有者への同意は必要ないと法律で定められています。

国土交通省は「大深度地下」を利用することで
▽効率的なルートで工期短縮などが見込めるほか、
▽浅い地下に比べて地震に対して安全であり、騒音や振動の減少にもつながる効果が見込めるとしています。

東京外かく環状道路のほか、リニア中央新幹線でも東京都と神奈川県それに愛知県の合わせておよそ55キロの区間が「大深度地下」にトンネルが作られる計画です。

※建物を支えるくいがある場合はそこからさらに10メートル以上深い地下を指す

専門家「深いところ掘削で道路陥没 聞いたことない」

今回の陥没事故について、地盤工学が専門の関東学院大学の規矩大義教授は「深さ40メートル以上のかなり深いところでの掘削で陥没に至るといった事例は聞いたことがない」としたうえで「地下の深い掘削は地表に影響を及ぼすことは少ないということで安全が担保され、住宅街の真下を掘るなど進めてきた経緯がある。今回の陥没が工事と関連性があるのかを調べ、もし関連があるとすれば、これまでにない新たな事例なのできちんと検証していく必要がある」と指摘しています。

また「これから検証を行わないと詳細は分からないが、事故現場の掘削を行ったのが1か月ほど前で、時間がたってから陥没に至ったことを考えると、掘削をしたあとに地表に近い浅いところでは、何らかの原因で地下水や土砂が動くなど変化が起き、時間をかけて空洞ができた可能性も考えられる。その場合は新たな形での地下のモニタリングを行うとかなにか対策を検討することが必要だ」と話していました。

地下浅いところの工事では過去に陥没が

大深度地下と呼ばれる地表から40メートルより深いところではなく、それよりも浅い地下では、これまでにもトンネル工事に伴う陥没事故が発生しています。

このうち平成28年11月には福岡市のJR博多駅前で縦横およそ30メートル、深さおよそ15メートルにわたって道路が大規模に陥没しました。

当時、陥没現場の地下20メートルでは市営地下鉄七隈線の延伸工事が行われていて、岩盤の強度が想定よりも弱く、トンネルの強度が不足していたため陥没が起こったとする報告がまとまっています。
また、ことし6月には、横浜市で行われていた相鉄・東急直通線のトンネル工事で真上の道路が2か所、相次いで陥没する事故が起こっています。

この事故については、地下19メートル付近でトンネルの掘削を行っていた「シールドマシン」が過剰に土砂を取り込んだ結果、地下に隙間ができたことが陥没につながったと、その後の調査で明らかになっています。