パリ近郊 男性教員切られ死亡 テロ事件として捜査 9人拘束

パリ近郊 男性教員切られ死亡 テロ事件として捜査 9人拘束
フランスのパリ近郊で、男性教員が、男に首を刃物で切られて殺害されました。被害者の男性教員は、授業で生徒にイスラム教の預言者の風刺画を見せていたことなどから、検察はテロ事件として捜査し、これまでに男の家族など9人を拘束しています。
パリ近郊で16日夕方、不審な男がうろついているという通報を受けて警察官が駆けつけたところ、男性が首を刃物で切られて殺害されているのが見つかり、近くにいた男が刃物で警察官を襲おうとして射殺されました。

男はこの際、アラビア語で「神は偉大なり」を意味する「アラー・アクバル」と叫んでいたということで、検察は男が男性を殺害したとみてテロ事件として捜査しています。

地元メディアによりますと、被害者の男性は現場近くの中学校の歴史の教員で授業で「表現の自由」について教える際、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を生徒に見せていて、このことがSNSで拡散して一部の保護者が反発していたということです。

一方、容疑者について地元メディアは、ロシア出身の18歳のチェチェン系の男だと伝えていて、捜査当局はこれまでに男の家族や、男性教員が勤務していた中学校の生徒の保護者など9人を拘束したということです。

フランスでは、5年前、預言者の風刺画を掲載した新聞社「シャルリ・エブド」がイスラム過激派に襲撃されて12人が死亡したほか、先月、この新聞社が再び風刺画を掲載したあと、事件が起きた建物の前で、男女2人がパキスタン出身の男に刃物で切りつけられました。

預言者の風刺画をめぐって、フランスでは、宗教の批判も表現の自由として認められるべきだという考え方が強く支持される一方、イスラム教徒や中東諸国からは、宗教の冒とくだとして、強い反発もあります。

風刺画をめぐって再び事件が起きたことにフランス国内では衝撃が広がっていて、現場を訪れたマクロン大統領は、「表現の自由を教えていたという理由でフランス国民が殺害された。イスラム過激派によるテロの犠牲者だ」と非難したうえで、テロに屈してはならないとして国民に団結を呼びかけています。

生徒の保護者から不安の声

殺害された男性教員の授業を受けていたという生徒の保護者が、現地メディアのインタビューに応じました。

このうち、男子生徒の父親は「息子によると、先生はイスラム教の生徒を傷つけないようにと、授業が始まるとき、『これからムハンマドの風刺画を見せるから、ショックを受けてほしくないので、イスラム教徒の生徒は手を挙げて教室を出てもかまわない』と説明していた」と話していました。

そのうえで、「息子もイスラム教徒だが先生のことが好きだった。優しくて朗らかで、イスラム教を嫌悪するような人ではなかったと言っていた」と話していました。

また、別の男子生徒の父親は、「息子は不安がっています。とにかく、息子を学校には戻しません。学校に対して、また、なんらかの報復があるのではないかと恐れています」と話していました。