ニュージーランド議会選挙投票へ アーダーン首相の評価は?

ニュージーランド議会選挙投票へ アーダーン首相の評価は?
ニュージーランドで17日議会選挙が行われ、新型コロナウイルスへの対応などで評価されているアーダーン首相率いる与党・労働党が単独で過半数を獲得できるかが焦点です。
ニュージーランドの議会選挙は当初、先月行われる予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で実施が延期され、日本時間の17日午前5時から投票が行われます。

前回3年前の選挙では、最大野党だった労働党が票を伸ばし、ニュージーランド・ファースト党と連立を組んで9年ぶりの政権交代を果たし、代表だったアーダーン氏が首相に就任しました。

アーダーン首相は去年3月、南部クライストチャーチでイスラム教のモスクが銃撃され51人が死亡した事件を受けて、宗教や民族の違いを超えた連帯を呼びかけるとともに、銃規制の強化を進めました。

またことしは新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、早い段階から入国規制を強化するとともに、国内では厳しい外出制限を導入したことで感染の抑え込みに一定の成果をあげたとして評価されています。

今回の選挙で与党・労働党は、新型コロナウイルスの影響を受けた経済の回復に向けて雇用の創出や中小企業の支援策を掲げているのに対して、最大野党・国民党は同じく女性の党首のもとで減税などによる経済復興策を訴えています。

現地メディアによりますと、最新の支持率は労働党が46%、国民党が31%となっていて、労働党が単独で過半数を獲得できるかが焦点です。

投票は日本時間の17日午後3時に締め切られて即日開票され、17日夜には大勢が判明する見込みです。

37歳で就任 アーダーン首相

ジャシンダ・アーダーン首相(40)は、前回2017年の議会選挙で政権交代を実現させ、37歳の若さで首相に就任しました。

よくとし(2018年)、第1子を出産したあとは現役の首相では世界で初めて産休を取得して話題となりました。

アーダーン首相は宗教や民族の違いを超えた多様性のある社会の実現に力を入れています。

去年3月、南部クライストチャーチでイスラム教のモスクが銃撃され51人が死亡した事件では、遺族と面会した際、イスラム教徒の女性のようにスカーフで髪を覆ってイスラム社会への敬意を示し、信者の安全の確保と信仰の自由を守ることを約束しました。

また、銃規制を強化し、政府による銃の買い取りを進めました。

コロナ対応では厳しい措置も

ことしは、新型コロナウイルスへの対応でも注目されました。

国内で感染者がまだ確認されていなかった2月初旬、当時感染が広がっていた中国からの外国人の入国を原則禁止する措置を他国に先駆けて始め、3月には対象をすべての国からの外国人に広げたほか、国内でも外出制限などの厳しい措置を行いました。

外出制限の期間中、アーダーン首相はフェイスブックを使ったライブ配信をたびたび行い、感染拡大防止策について国民からの質問に直接答え、人々に寄り添う姿勢が評価を高めました。

選挙運動でも集会の会場などからライブ配信を行って支持を呼びかけるとともに、その合間も新型コロナウイルスの対策について国民に説明したり自身の子育ての様子を写真で紹介したりして、親しみやすさをアピールしていました。

一方、新型コロナウイルス対策をめぐっては、「国境の封鎖がほかの国々と比べて厳しい」と経済界から反発を受けたほか、感染拡大の防止策に追われて貧困問題をはじめとするその他の課題に対して有効な手だてを打ち出せなかったという指摘も出ています。

支持者はコロナ対応を評価

首都ウェリントンに住む教育コンサルタントのチェルシー・グルートベルドさん(43)は、アーダーン首相を支持する1人です。

グルートベルドさんはアーダーン首相の新型コロナウイルスへの対応について、「ヨーロッパやアメリカでの感染拡大をとても不安に思っていたが、アーダーン首相が国民に語りかけてくれたので自分たちは安全だと感じることができた。リーダーの危機対応としてはとても力強いものだった」と評価しています。

首相のフェイスブックのライブ配信を見ることを日課にしているということで、「ある日、首相がとても疲れているように見えたので、『元気ですか?あなたのお子さんも元気?体に気をつけてください』とメッセージを送ったら、『ありがとう』と返信が来た」と振り返りました。

そして、「SNSで首相とつながっていると感じることで政治が身近なものになり、私自身も国の政治に関わっていると感じられる。ニュージーランドのため責任を果たしてもらえるよう、アーダーン首相に質問を投げかけ続けることは国民の大切な役割だ」と話していました。

専門家「やさしさの一方で決断力も」

ニュージーランド政治が専門のオークランド大学のジェニファー・カーティン教授は、アーダーン首相のリーダーとしての強みについて、「『やさしさ』と『思いやり』を込めたことばを使い続け、攻撃的なことばを使うような政治には興味がないという姿勢を見せてきた。一方で、やると決めたら必ず実行する強い決断力もある」と指摘しています。

また、SNSを使って国民とコミュニケーションを取る手法について、「有権者に対して首相も自分たちとよく似た人間だと思わせる効果的な方法だ。人々が政治家の本当の姿を知りたいと思うようになり、強固な支持につながった」と分析しています。

そのうえで、この3年間はモスクの銃撃事件や新型コロナウイルス対策など突発的な出来事の対応に追われたことから、今回の選挙で労働党が政権を維持することになった場合、国内の課題に対してより具体的な政策の推進が必要になるだろうとして、家庭内暴力や子どもの貧困、環境問題などの改革を挙げています。