「人殺し」「地域から出ていけ」コロナ差別への対応に地域差も

「人殺し」「地域から出ていけ」コロナ差別への対応に地域差も
新型コロナウイルスに関する、偏見や差別への対策を検討するワーキンググループの会合が16日開かれ、全国知事会から、都道府県ごとの偏見や差別への対応状況についての調査結果が報告されました。専用の相談窓口を設置する自治体がある一方で、窓口がない自治体もあるなど、対応に差がみられたということです。
16日に開かれた新型コロナウイルスに関する、偏見や差別への対策を検討するワーキンググループの会合で、委員の1人で三重県の鈴木知事から報告されました。

今月、全国知事会が47都道府県を対象に、偏見や差別への対応状況を調査した結果、何らかの相談窓口を設置していたのは、37の自治体でこのうち10の自治体は、新型コロナウイルス関係の差別について専用の相談窓口を設けていました。

一方で、10の自治体は相談窓口を設置していないと回答したということです。

また、SNSやインターネットの不適切な書き込みをパトロールしたり、削除依頼をしたりするなどの対策については、実施していると回答したのは26の自治体でした。

会合で鈴木知事は、被害者を救済するためには、各都道府県が知見を共有しながら、財政支援をもとに、息の長い対策をとることが必要だと報告したということです。

ワーキンググループでは、こうした報告をもとに、今後、必要な対策について報告書をまとめることにしています。

「人殺し」「地域から出ていけ」差別の実態報告

ワーキンググループの会合では、感染者の集団=クラスターが発生した高校から、関係者が受けた差別の実態なども報告されました。

報告によりますと、クラスターの発生が報道された直後から学校に、「人殺し」とか「地域から出ていけ」、「どんな教育をしているんだ」などのひぼう中傷の電話が、数日間で100件近く寄せられたということです。

すべての生徒が外出を自粛していた期間中には、「生徒がスーパーマーケットでアルバイトしている」、「店の前で生徒がたむろしている」などの事実とは違うデマが流れ、店から、風評被害だと苦情が寄せられたケースもあったということです。

高校によりますと自宅で待機していた生徒たちは、スマートフォンを使う時間が増え、インターネット上の、ひぼう中傷を目にする機会も増えたということで、高校では今も生徒への心のケアを続けているということです。

一方で、SNSやインターネットでは、学校への励ましや応援の声も寄せられたということです。

会合のあと、ワーキンググループの中山ひとみ座長は「報告を聞いて、人々の不安が最も強い、発生から間もない時期の差別に、どう対応するべきかという問題意識を持った。今回の生徒たちのような、差別の被害者を出さないためにも、対策の在り方を議論していきたい」と話していました。