ヨーロッパ 新型コロナ感染再拡大 規制導入広がる

ヨーロッパ 新型コロナ感染再拡大 規制導入広がる
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ヨーロッパでは、新型コロナウイルスの感染が再び急速に広がっています。フランスやイギリス、それにスペインでは、新たに確認される感染者が1万人を超える日が続き、ことしの春を上回る水準となっていて、新たな規制を導入する動きが広がっています。
フランスでは10月10日、新たに確認された感染者が2万7000人近くに上り、カステックス首相は12日、地元メディアのインタビューで、フランスやヨーロッパが「第2波」の中にあるとして、感染予防策を徹底するよう市民に呼びかけました。

そのうえで、状況が悪化すれば、地域を限定して外出制限を再び導入する可能性も示唆しました。

また、1日の感染者が10月上旬から1万人を超えたイギリスでは12日、ジョンソン首相が地域の感染の状況に応じた対策を導入することを発表し、最も感染が深刻なリバプールやその周辺では、パブやバーの営業を事実上、禁止することになりました。

ジョンソン首相は経済への影響が大きいとして、こうした厳しい措置を全国一斉に導入することには否定的な見方を示しましたが、「今後、数週間、数か月間は厳しい状況が続くだろう」と述べ、市民に理解を求めました。

このほか、ヨーロッパで感染者が最も多いスペインでも1日の感染者が1万人を超える日が続いています。

首都マドリードなどでは10月初めから通勤などを除いて自治体をまたいだ移動が禁止されていて、各国は経済活動への影響を見極めながら再び規制の導入を余儀なくされています。

ヨーロッパ 各国の状況

ヨーロッパで感染者が最も多いスペインでは、特に深刻な首都マドリードなどで10月初めから、通勤などを除いて自治体をまたいだ移動が禁止されています。

違反した場合は600ユーロ、日本円でおよそ7万5000円の罰金が科されることになっていて、マドリードと郊外をつなぐ幹線道路では警察が取り締りにあたっています。

イタリアでは今月10日に新たに確認された感染者が5700人を超え、ことし5月に外出制限が解除されてから最も多くなりました。

政府は、屋内の施設や公共交通機関に加えて、屋外でもマスクの着用を原則として義務化し、対策を強化しています。

ドイツでは10月に入って、1日の感染者が4000人を超える日が相次ぎ、ことし4月上旬の水準にまで増えました。

特に、都市部での感染拡大が目立っていて、首都ベルリンでは今月10日からレストランやバーなどで午後11時以降の営業が禁止され、10人を超える人が屋内に集まることも禁止されました。

また、屋内で過ごすことが多くなる冬に向けて、人との距離をとることなどに加え換気も重視されるようになっていて、メルケル首相も「換気は最も安くて効果的な対策の1つと言える」と、重要性を強調しています。

ベルギーでは、今月8日までの1週間の新たな感染者は1日平均で4100人余りと、前の週と比べて90%近く増えました。

このため、ベルギー政府は10月8日から少なくとも1か月間、首都ブリュッセルのバーやカフェを閉鎖する措置を取りました。

オーストリアでは、9月下旬から飲食店で1つのテーブルで座れる人数を10人以下に制限するなどの対策を導入しましたが、1日の感染者が先週は1200人を超えるなどこれまでで最も多くなり、さらなる規制の強化が検討されています。

WHO 医療機関の負担増に警戒感

WHO=世界保健機関で危機対応を統括するライアン氏は12日、スイスのジュネーブで開いた定例の記者会見で、「フランスやイギリス、アイルランドなどでは入院する患者の割合が増え、集中治療室の空きも少なくなってきている。今後数週間、医療システムがこの状況に対処できるかどうかがとても大切だ」と述べ、ヨーロッパでの感染の再拡大によって医療機関の負担が増えていることに警戒感を示しました。