プロ野球 阪神球団社長辞任へ 新型コロナ管理体制に甘さで引責

プロ野球 阪神球団社長辞任へ 新型コロナ管理体制に甘さで引責
プロ野球・阪神は揚塩健治球団社長がチーム内に新型コロナウイルスの感染者が相次ぐなど管理体制に甘さがあったとして今シーズンかぎりで辞任すると発表しました。
阪神の揚塩社長は9日午後、兵庫県西宮市の球団事務所で会見を行い、チーム内に感染者が相次いだことを受けて「対戦相手や関係機関にご迷惑をおかけし、お詫び申し上げます。混乱を招いた最終的な責任は私にあります」と述べ、管理体制に甘さがあったとして今シーズンかぎりで辞任することを明らかにしました。

阪神では球団が外出自粛としていたことし3月に藤浪晋太郎投手など3人の選手が外部で会食し、その後、プロ野球界で初めて新型コロナウイルスへの感染が判明しました。

また、9月には選手やスタッフ合わせて9人が相次いで感染し、このうち一部の選手が球団のルールを破って遠征先で8人で外食をしていました。

これについて揚塩社長は、「2回にわたって球界にご迷惑をおかけし、選手にはレポートを提出させ、個別に面談もして社会人としての行動を厳しく指導しました」と説明しました。

その上で、今後、遠征先での外食を一切禁止にするほか、ベンチやロッカールームなどでのマスクの着用など感染防止対策を徹底する考えを示しました。

揚塩社長は60歳。

昭和58年に阪神電鉄に入社し、3年前の平成29年12月から球団社長を務めています。

後任の社長は未定ということです。

矢野監督「申し訳なく残念」

阪神の揚塩健治球団社長は、9日の記者会見の前に矢野燿大監督に今シーズンかぎりで辞任することを伝え、「フィールド外の責任は私にあります。チームには目の前の試合に勝ちきることにこだわってほしい」と話したということです。

これについて、矢野監督は「一緒に戦ってきたので、申し訳ない気持ちと残念な思いです。前を向いてやっていこうとこれまで背中を押してくれていたので、揚塩社長の思いを持って元気な姿と戦う姿勢を見せていきたい」と話していました。

藤原オーナー「辞任やむをえず」

阪神の揚塩健治球団社長が今シーズンかぎりでの辞任を発表したことを受けて、藤原崇起オーナーが大阪市内で取材に応じ、「ファンの皆さんに申し訳ない。辞任をしたいという話を受けて社長といろいろ話をしましたが、これはやむをえないと思って承認しました」と辞任に至った経緯を話しました。

そして、選手に感染防止対策を徹底できなかったことについて、「選手たちがこれまでPCR検査をクリアしてきた中で、気の緩みがあったと思います。自分を律するのは大変ですが、それを持続してこそ初めてプロです。選手やスタッフが、自分の役割を再確認することを強く要請したい」とチームの意識改革に努める考えを示しました。

選手やスタッフに感染防止対策を徹底できず

阪神ではことし3月以降、チーム内で合わせて12人の感染者が相次いだ背景には選手やスタッフに感染防止対策を徹底できなかった管理体制の甘さがあります。

このうち、プロ野球界で初めての感染者となった藤浪晋太郎投手など3人は、球団が外出自粛を要請していたことし3月に知り合いの自宅に集まって大人数で会食し、その後、新型コロナウイルスの感染が判明しました。

このとき阪神の揚塩球団社長は「プロ野球界で初めての感染者が3人も出たことを重く受け止め、申し訳なく思っています」と謝罪したうえで、再発防止に努める考えを示しました。

しかし、先月24日以降、選手とスタッフ合わせて9人が相次いで感染し、その数日前にキャプテンの糸原健斗選手など、一部の選手が球団が「会食は4人以内」と定めていたルールを破って8人で外食をしていて球団の感染防止対策が徹底されていなかったことが明らかになりました。

このほか、西勇輝投手が全国に緊急事態宣言が出されていたことし5月に、知人の女性と三重県内でホテルで会っていたと一部の週刊誌で報道されるなど、チームの管理体制の甘さが再三指摘されていました。

地元 大阪の街 球団の甘さを問う厳しい声

大阪の街ではこれまでの球団の甘さを問う厳しい声が聞かれました。

大阪市の20代の男性は「これだけの人数の感染は選手が意識していたら防げたと思う。社長の辞任は今後の阪神のためには正しい判断だと思う」と話していました。

堺市の60代の女性は「プロ野球で阪神の選手が最初に感染して、ほかの球団より注意しないといけないのに球団の管理体制に甘さがあったと思う。私たちは、まだ飲み会をやっていませんよ」と話していました。

また、大阪市の70代の男性は「辞任は逃げで、とことんやれることはやったのか疑問に思う。これが1つの教訓となってチームを厳しくしようという気持ちになる人が増えてほしい」と出直しを求めていました。