コロナ第1波対応検証の民間調査会が会見 人員確保など提言

コロナ第1波対応検証の民間調査会が会見 人員確保など提言
新型コロナウイルスへの日本の対応を検証した民間の調査会が、8日、記者会見し、政策決定に関わった政治家や官僚などにヒアリングを行って作成した報告書を発表しました。報告書は感染症に対応できる人員の確保やデジタル化の推進を提言しました。
危機管理や国際政治などが専門の弁護士や大学教授などで作る「新型コロナ対応・民間臨時調査会」は8日、東京 千代田区の日本記者クラブで会見し、ことし1月から半年間の日本の対応を検証した報告書を発表しました。

報告書は安倍前総理大臣や西村経済再生担当大臣、それに官僚や専門家など83人にヒアリングを行って作成され、ことし1月から半年間の第1波への対応の課題や教訓を探っています。

このうち厚生労働省の対応については、自治体や保健所、医療機関などに指示する通知をおよそ600通出したものの、人手不足となっていた現場が十分に対応できない状況になったとしています。

報告書では、平時と同じように一方通行な指示が繰り返し行われた対応を「通知行政」と呼び、緊急時には実質的な活動につながらないとして、改善を求めています。

また、医療機関に患者の発生届を手書きで作成してもらい、保健所などがFAXで受け取るアナログな体制だったため、リアルタイムで感染状況を把握することが困難だったとしています。

こうした状況を受けて報告書は、感染症専門の研修を拡大して緊急時に対応できる現場の人員確保を進めることや、デジタル化の推進を提言しています。

会見のあと「新型コロナ対応・民間臨時調査会」の委員で政策研究大学院大学の大田弘子特別教授は「新型コロナウイルスによって価値観や国の在り方が変わろうとしている。改革すべきことを常に検証していくべきだ」と話していました。