新型コロナ治療薬開発の遅れや医療機関の減収 学会で議論

新型コロナ治療薬開発の遅れや医療機関の減収 学会で議論
新型コロナウイルスの感染拡大による医療への影響について、学術団体や研究機関のトップが議論するパネルディスカッションが行われ、治療薬開発の遅れや医療機関の減収など、明らかになった問題について行政の支援が必要だなどといった意見が出されました。
パネルディスカッションは、広島市で開かれている日本癌学会の中で行われ、学術団体や研究機関のトップらが意見を交わしました。

この中で、医薬品の審査などを行う独立行政法人「医薬品医療機器総合機構」の藤原康弘理事長は、新型コロナウイルスの治療薬の開発について「海外では、2月には大きな研究組織が有効性を検証する臨床試験を行うめどをつけ、夏には結果を発表していた。日本では薬を投与してもデータが医薬品の承認には使えない観察研究ばかりで遅れている」と指摘しました。

そのうえで、「日本発の医薬品の確保は安全保障に関わる。危機に備え、臨床試験を支援する体制の整備が必要だ」と訴えました。
また、がん研究会の野田哲生常務理事は病院で受診が減って減収が数十億円に上ることを明らかにしたうえで、「医療機関や研究機関の多くが減収となっている。行政による支援が欠かせない」と訴えていました。

こうした意見に対し、厚生労働省の迫井正深医政局長は「国として最大限の支援を考えるが、それだけでは解決せず、変革するものも考えてもらう必要がある」と答えていました。