「Go Toトラベル」島しょ部の旅は対策徹底を 東京都

「Go Toトラベル」島しょ部の旅は対策徹底を 東京都
「Go Toトラベル」の対象に1日から東京発着の旅行が加わることについて、東京都は新型コロナウイルスの感染防止策をとるよう呼びかけていて、医療体制がぜい弱な島しょ部を訪れる場合は、特に対策を徹底してほしいとしています。
東京の島しょ部では、これまでに御蔵島村、大島町、八丈町、小笠原村で合わせて16人の感染が確認されています。

感染症に対応した病床は八丈町に2床あるだけで、一部の自宅療養の人を除いてほとんどが都内の病院にヘリコプターなどで搬送されました。

都などでは感染拡大を水際で防ぐため、東京からおよそ1000キロ離れた小笠原村を訪れる人を対象に、定期船に乗る前にだ液を使ったPCR検査を実施しています。

これまでに1人に陽性反応が出て乗船を取りやめてもらったということです。

一方、この検査で陰性だったものの、島に入ってから感染が確認されるケースも2人出ています。

2人の感染経路は分かっていないということです。

「GoToトラベル」の対象に1日から東京発着の旅行が加わり、都は感染防止策をとるよう呼びかけていて、医療体制がぜい弱な島しょ部では感染を広げないために、体調がすぐれない場合には旅行自体を取りやめることや、大人数で大声を出すような飲み会は控えるなど、特に対策を徹底してほしいとしています。

観光業者は期待し対策徹底

「Go Toトラベル」の対象に東京発着の旅行が加わったことについて、島しょ部の観光事業者は観光客の増加につながるという期待の声をあげています。同時に感染防止対策も徹底しています。

このうち、大島町にあるゲストハウス、「Hale 海 Guest-House・Oshima」では、テーブルや窓ガラスなどをこまめに消毒しているほか、客室には消毒液はもちろん、予備のマスクも用意しています。

客に対しても、島内の飲食店やスーパーを利用する際はマスクの着用やこまめな手洗い、消毒を呼びかけています。

経営する鈴木稚加子さんは「いろいろな島に足を運んでもらえるのではと期待しています。目に見えないウイルスなので100%安全と断言できないところがあり、観光に携わっていない住民にも不安を与えないよう対策を行って安心していただければと思います」と話していました。

大島町長「来島者も対策を」

東京都島嶼町村会の会長をつとめる大島町の三辻利弘町長は「来島者を受け入れることで経済が活発に循環するので、Go Toトラベルには島民一同期待が大きい。一方で、来島者が増えることで感染リスクは高くなり、かといって来島者が増えなければ島の経済が立ちゆかなくなるというのが住民全般の声でジレンマに陥っている」と話しています。

そのうえで、「ウィズコロナ時代には安全で楽しい旅と感染防止はセットになる。受け入れるほうも対策をとるので、来島者の皆さんも港や空港で検温への協力やマスクの着用など徹底した対策をお願いしたい」と呼びかけていました。

8月の来島者は去年の半数以下に

ことし8月に東京の島しょ部を訪れた人は、統計がある自治体の平均で去年の半数以下に減少したことがNHKのまとめで分かりました。

東京の島しょ部の町や村、それに地元の観光協会によりますと、ことし8月に船や航空機で訪れた観光客などは統計をとっている6つの町と村の平均で去年の同じ月より52.5%減少しました。

このうち、
▽小笠原村は観光客だけで1074人でした。
去年の同じ月よりおよそ64%の減少です。

このほか、観光客を含めて来島者全員の統計をとっている
▽神津島村は去年の同じ月よりおよそ57%、
▽八丈町はおよそ50%、
▽大島町はおよそ49%、それぞれ減りました。

8月は、1年の中で最も来島者が多い時期で島の経済への影響は深刻だということで、島しょ部で最も人口の多い大島町によりますと、ことし4月から8月の経済的な損失は推計でおよそ8億円に上るということです。