「Go Toイート」開始 飲食店「サイト離れ」で“効果限定的”も

「Go Toイート」開始 飲食店「サイト離れ」で“効果限定的”も
外食の需要を喚起して飲食店などを支援する「Go Toイート」のうち、予約サイトを通じて食事をした場合にポイントが受けられる事業が1日から始まりました。
「Go Toイート」は、オンライン予約によるポイントの付与と、プレミアム付き食事券の2つの事業があります。
このうち、予約サイトを通じて飲食店で食事をした場合にポイントを付与される事業が1日から全国で始まりました。

予約サイトは、「ぐるなび」や「食べログ」など13の事業者の15のサイトが指定され、ほとんどのサイトが1日から対応しています。

予約をした店で実際に食事をすると、1人当たり昼食では500円分、夕食では1000円分のポイントが1週間ほどで付与され、次回以降の予約などに使うことができます。

予約は、最大10人分まで可能で、来年1月末まで何回も予約できますが、ポイントの総額が616億円に達した時点で終了になる予定だということです。

また、ポイントの有効期限は最長で来年3月末までとなっています。

対象となる飲食店は感染対策を徹底することが義務づけられ、接待を伴う店などは対象から除外されています。

一方、都道府県ごとに使えるプレミアム付き食事券の事業は、これまでに33の府県で実施が決まっていましたが、1日、残る14都道県でも事業者が決まり、47都道府県すべてで実施されることになりました。

農林水産省によりますと、今月5日から新潟県で始まるのを皮切りに来月までにほとんどの都道府県で始まるということです。

効果は限定的という声も

「Go Toイート」では「ぐるなび」や「食べログ」など指定された13の事業者の15の予約サイトで予約をして食事した場合、1人当たり昼食で500円分、夕食で1000円分、予約サイトで使えるポイントが還元されます。

しかし、多くの予約サイトでは
▽毎月の掲載手数料のほか、
▽サイトを通じて予約客が店に来た場合、1人当たり50円から200円ほどの送客手数料を店側が支払う必要があります。

今回、新たに予約サイトを利用する飲食店はキャンペーンの期間中掲載手数料が無料になりますが、新型コロナウイルスの影響で経営に苦しむ飲食店などの「サイト離れ」がすでに進んでいて、効果は限定的だという声も聞かれます。

NHKは30日、外国人観光客が激減している東京・浅草の雷門近くにある20の飲食店に取材しましたが、6割にあたる12の店が手数料の負担などを理由に予約サイトを利用していませんでした。

このうちオムライスが名物だという洋食店の経営者は、「うちの店は高齢の常連客が多く手数料もかかるので予約サイトは使っていません。サイトの運営者だけがもうかる仕組みになっていて国の支援策には不公平感があります」と話していました。

また、うどん店の店主は「これまで予約サイトは利用していませんでしたが『Go Toイート』をきっかけに今後、契約することを考えています。浅草に来る人は予約サイトを利用しない高齢の方も多いのでどこまで効果があるか分かりませんが、少しでも客足が戻ることを期待しています」と話しています。

予約サイトと新たに契約の老舗「キャンペーンにすがる思い」

東京 浅草で45年前から営業している、ねぎま鍋が名物の老舗の飲食店では、新型コロナウイルスの影響で企業の会食など団体客の予約が入らなくなり、先月の売り上げは去年の半分程度に落ち込んでいるといいます。

以前はグルメサイトと契約しオンラインで予約を受け付けていましたが、手数料の支払いが負担になることなどから、これまで予約サイトは利用していませんでした。

しかし「Go Toイート」によってオンライン予約ができる店に客が集中する可能性があるため、手数料がかからない予約サイトを選び新たに契約したということです。

この飲食店を経営する平川良信社長は「売り上げが激減しているのでGo Toキャンペーンにすがる思いだ。1人分ずつ鍋を小分けにするなど感染防止対策を万全にしながらお客さんを出迎えたい」と話していました。

予約サイトからも期待の声

予約サイトの運営会社は業績の回復に期待を寄せています。

このうち、「ぐるなび」は、加盟している5万余りの飲食店のうち、1日午後5時の時点で感染防止対策などの準備が整った1万4000店余りでポイントの付与を受けられる予約の受け付けが始まりました。

この会社では、新型コロナウイルスの影響でことし6月までの3か月間の決算は、この時期としては14年ぶりの最終赤字となっています。このため、今月19日から独自のポイントも付与するキャンペーンを実施する予定で、サイトを経由した予約によって得られる手数料収入を増やしたい考えです。

「ぐるなび」の齊藤美保専務は「新型コロナウイルスの影響で飲食業界全体が危機を迎えているが、全社を挙げて業界のV字回復を目指したい」と話しています。

「Go Toイート」開始 渋谷で聞いてみると…

「Go Toイート」のポイント還元について東京・渋谷で聞いたところ「積極的に利用したい」という人がいる一方で、「キャンペーンの内容を詳しく知らない」という人も多くいました。

大田区に住む20代の男性は「予約サイトを使えばふだんより安く飲み食いできるのでこれから積極的に活用したいです。このキャンペーンをきっかけに、飲食店が元気になってほしいです」と話していました。

一方、横浜市に住む60代男性は「予約サイトを使ったことがないので、キャンペーンの仕組みがよく分かりません。私のようにネットに詳しくない人はキャンペーンの対象外になっているのかなと思います」と話していました。

また感染のリスクから外食にはまだ抵抗があると話す人もいます。

品川区に住む会社員の男性は「コロナの感染リスクがあるのでキャンペーンが始まってもすぐに外食に行く気分にはなりません。感染状況の様子をみたいと思います」と話していました。

また、渋谷区に住む30代女性は「感染収束の見通しが立たない中でキャンペーンを始めるのは、まだ早いのではないかと思います」と話していました。

コロナ感染防止対策徹底が参加の条件

農林水産省は「Go Toイート」の実施に当たり、店に対し感染防止対策を徹底することを参加の条件としています。

具体的には
▽店の入り口などに消毒液を置くことや
▽換気を十分行うこと、
▽別グループの客との間隔が最低1メートル以上となるようテーブルを離すことや、仕切りを設けることなどを求めています。

また、
▽メニューにシールを貼るなど目に付きやすい方法で国の接触確認アプリ「COCOA」の案内を出すよう要請しています。

さらに、
▽店が利用者に対して、大人数での会食を避け会話の声を控えめにするよう呼びかけることも求めています。

農林水産省は適切な対策が取られているか確認するため職員による抜き打ちの訪問調査を行うことにしていて、指導に従わない店は登録を取り消すこともあるとしています。