座間9人殺害事件 このあと初公判 傍聴券求め大勢の人

座間9人殺害事件 このあと初公判 傍聴券求め大勢の人
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3年前、神奈川県座間市のアパートで若い女性ら9人の遺体が見つかった事件で、強盗殺人などの罪に問われている29歳の被告の裁判員裁判が、このあと東京地方裁判所立川支部で始まります。午前中から大勢の人が傍聴券を求めて裁判所を訪れました。
3年前の2017年10月、神奈川県座間市のアパートで、群馬、埼玉、福島の女子高校生3人や、埼玉の女子大学生など、15歳から26歳の男女9人の遺体が次々に見つかった事件では、アパートの部屋に住んでいた白石隆浩被告(29)が性的暴行をしたうえ、9人を殺害して現金を奪い遺体をクーラーボックスに遺棄したなどとして、強盗殺人などの罪に問われています。
この事件の裁判員裁判が、このあと午後1時半から東京地方裁判所立川支部で始まる予定で、午前中から大勢の人が傍聴券を求めて裁判所を訪れました。

被告が9人を殺害したことに争いはありませんが、弁護士は殺害されることなどに被害者が同意していて、承諾殺人の罪にとどまると主張し、刑の重さが争われる見通しです。

また、被告が事件当時、刑事責任を問える精神状態だったかも争点となる見通しです。

判決は、ことし12月15日に言い渡される予定です。

傍聴券の倍率は48倍

裁判所によりますと13の傍聴席に対し625人が傍聴を希望したということで、倍率はおよそ48倍でした。

傍聴券求め大勢の人

午後1時半から始まる予定の初公判の傍聴券を求めて、東京地方裁判所立川支部には朝から多くの人が足を運びました。

このうち、東京 北区の21歳の女子大学生は「事件当時は私と同い年ぐらいで弱った人ばかりがねらって殺されていて、ショックだったのを覚えています。私もそれぐらいの年のころは人生に悩むこともあったので、ひと事とは思えませんでした。被告は逮捕当時、全然反省していないように感じられましたが、裁判までに心境の変化があったのか知りたいです」と話していました。

また、10代の娘と訪れた東京 八王子市の46歳の女性は「9人が殺害されるという猟奇的で今までにない凶悪な事件だったことを覚えていたので来ました。今はSNSなどで見知らぬ人と簡単につながれる時代なので、娘には同じような事件に遭わないように注意するよう言い聞かせています。犠牲者が戻ってくるわけではありませんが、被告には裁判に真摯(しんし)に向き合って犠牲者に謝罪してほしいと思います」と話していました。

40代の女性は「事件までの経緯など何があったのか詳しく知りたいと思い
裁判に来ました。弱っている人の気持ちにつけこんだ事件で、被害にあった人たちは『自分の気持ちを分かってもらえるかも』とか、『寂しさを埋めてもらえるかも』と感じていたのかもしれないと思います。被告にはいま思っていることを述べてほしいです」と話していました。

また、4歳の子どもがいるという40代の男性は、「小さい子どもたちが
こういう事件に巻き込まれないよう、未然に防ぐにはどうしたらいいか考えたいと思い来ました。自分が若いころでは考えられないようなSNSを使った手口で、人の弱みにつけこんだ事件だと感じています。決して殺害されることに同意はなかったと思うし、亡くなった9人にも家族がいることを想像していたのかどうかなどを被告には語ってほしいです」と話していました。

被害者は15歳から26歳の男女

被害にあったのは、15歳から26歳の男女9人でした。

八王子市 23歳女性

東京 八王子市の当時23歳の女性は、山梨県甲州市の小学校に通っていました。

動物が好きで小学校のクラスでは飼育委員を務め、4年生のときに書いた文集には「ペットショップの店員になりたい」と将来の夢をつづっていました。

おとなしい性格でしたが、仲の良い友人に冗談を言って笑わせる明るい面もあったということです。

卒業後は地元の中学校に進学しましたが、中学1年の途中で転校したということです。

そして3年前の9月に八王子市のグループホームに引っ越したということです。

しかし1か月後の10月21日の午後6時半ごろ、知人と会ったのを最後に行方が分からなくなりました。

行方不明になった直後の10月23日、白石被告と一緒に歩いている姿がJR八王子駅と、現場のアパートに近い小田急・小田原線の相武台前駅の防犯カメラに写っていたことが分かっています。

さらに1週間後の30日、行方を捜査していた警視庁が、女性とツイッターなどでやり取りしていた白石被告のアパートを訪れ、部屋から女性を含む9人の遺体が見つかりました。

埼玉 17歳女子高生

さいたま市の当時17歳の高校2年の女子生徒は地元の中学校を卒業後、埼玉県上尾市の高校に通っていました。

中学校では合唱部に所属し、同級生によりますと、まじめで優しく、後輩から好かれていたということです。

捜査関係者によりますと3年前の9月30日、「近くのスーパーにお昼ごはんを買いに行く」と家族に告げて自宅を出たあと行方が分からなくなり、家族が警察に捜索願を出していました。

神奈川 25歳女性

横浜市の当時25歳の女性は、中学校ではパソコン部に所属し携帯電話のゲームが好きで、通信制の高校を卒業したあとは家で過ごしていたということです。

おとなしい性格で、自分の気持ちを表に出すのが苦手なタイプだったということですが、母親のすすめでコンビニエンスストアでアルバイトを始めてから半年ほどして事件に巻き込まれました。

埼玉 19歳女子大生

埼玉県所沢市の当時19歳の大学2年の女子学生は、地元の中学校を卒業後、川越市の高校に進学。

高校では演劇部に所属していました。

高校卒業後は、都内にある私立の女子大学に通っていたということで、3年前の9月、家族に「アルバイトに行ってくる」と告げて自宅を出た後、行方がわからなくなりました。

埼玉 26歳女性

埼玉県春日部市の当時26歳の女性は、事件に巻き込まれるおよそ2か月前から隣の越谷市で働いていました。

上司だった男性によりますと、約束を守るまじめな性格だったということです。

男性は「どこか暗いところがあったので、何か悩みがあるのかなと思っていたが、ひと言声をかけてあげるなど踏み込むことができなかった」と悔いるように話していました。

また、被告については「事件を聞いたときは、本当に人間なのかと思った。裁判ですべて話してもらって、遺族のためにも早く裁判を終わらせてほしい」と話していました。

福島 17歳女子高生

福島市の当時17歳の高校3年の女子生徒の父親は、初公判を前にNHKの取材に応じ、「娘が亡くなったと言われても遺体が戻って対面したわけではないので、自分の中ではいまだに娘が亡くなったという感覚がない。同じ年頃の女の子を見ると、自分の娘が20歳になって成人式をやっていればこういう感じなのかななどと、すべて娘につなげて考えてしまう」と話しました。

そのうえで、「娘は特別変わったところはない普通の女の子でした。小さい頃からアニメが好きでそのまま大きくなった感じで、アニメのキャラクターの絵を描いて見せてくれたりしました。事件に巻き込まれたことは不運だと思うしかないし、誰の身にも起きうることがたまたまうちの子に起きただけだと自分では理解しています」と述べました。

父親は持病があるため、裁判を傍聴したり出廷したりすることは考えていないとしたうえで、「動機などを聞いてもいらだつだけだし、死刑判決が出ても娘が生きて戻ってくるわけでもないので、事件や裁判のことは考えたくないです」と話していました。

群馬 15歳女子高生

群馬県邑楽町の当時15歳の高校1年の女子生徒は、地元の中学校を卒業後、県立高校の美術コースに進みました。

3年前の8月、2学期の始業式の日に両親に「学校に行く」と告げて自宅を出て、この日の夜、神奈川県の小田急線・片瀬江ノ島駅の改札を出たのを最後に行方が分からなくなりました。

小学生の時に書いた文集には、修学旅行で東京や鎌倉に行った思い出や、両親への感謝をつづっていました。

デザイン関係の仕事に就きたいという夢があり、優しくて笑顔がすてきな女の子だったということです。

神奈川 20歳男性

神奈川県横須賀市の当時20歳の男性は、地元の高校を卒業し、障害者支援施設に就職しました。

バンドを組んでベースを担当し、地元のライブハウスに出演するなど、本格的に音楽活動をしていたということです。

捜査関係者によりますと、男性は殺害された神奈川県厚木市の21歳の女性と知り合いだったということです。

複数の友人によりますと、男性はツイッターを通じて自殺願望がある人たちと連絡を取り合っていたとみられるということで、親交があった男性は「なぜ自殺に関心を持っていたのか、今もわからないままです。彼が悩んでいたのなら相談に乗るとか、もっと話を聞いてあげればよかった」と話しています。

神奈川 21歳女性

神奈川県厚木市の当時21歳の女性は、学生時代からあまり感情を表に出さないおとなしい性格だったといいます。

事件当時は都内に本社がある人材派遣会社に勤めていて、3年前の8月、「失踪します。必ず戻ってきます」という書き置きを残して行方が分からなくなったあと事件に巻き込まれました。

中学時代の同級生はこれまでのNHKの取材に「本当に静かで、おとなしい子というイメージでした。事件の真相が明らかになることを望みます」と話しています。