オーストラリア この冬新型コロナとインフル同時に流行せず

オーストラリア この冬新型コロナとインフル同時に流行せず
日本と季節が反対の南半球のオーストラリアでは、この冬、インフルエンザによる死者は1人もおらず、懸念されていた新型コロナウイルスとの同時流行もありませんでした。要因の1つに、専門家はインフルエンザワクチンの接種率が高かったことを挙げています。
6月から8月にかけてが冬にあたるオーストラリアでは新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行による医療体制のひっ迫を防ぐため、政府が5月下旬の時点で去年よりおよそ500万回分多い1800万回分のインフルエンザワクチンを準備し、国民に接種を呼びかけました。

特に最大都市シドニーのあるニューサウスウェールズ州では、高齢者施設での流行を最も警戒し、職員や、面会のため訪れる入所者の家族などにワクチンの接種を義務づけました。

その結果、オーストラリア国内でことし、9月20日までに確認されたインフルエンザによる死者は36人と去年の同じ時期の5.1%にとどまり、冬を含む5月以降に亡くなった人はおらず、感染者数も去年の7.3%にとどまりました。

これについて、ニューサウスウェールズ州保健当局のマカナルティー医師は「この冬は同時流行への懸念からインフルエンザワクチンの接種率が非常に高かったことが重要な役割を果たしたと考えられる」と指摘しています。

そのうえでマカナルティー医師は、新型コロナウイルスの感染防止対策として人どうしの距離を保つことや大人数が集まるイベントを制限したこと、それに手洗いや手の消毒への意識が高まったことなどが、インフルエンザの流行抑止にも極めて効果的だったという見方を示しています。