長崎にオンライン修学旅行 コロナ影響で 神奈川県の高校

長崎にオンライン修学旅行 コロナ影響で 神奈川県の高校
新型コロナウイルスの影響で、被爆地 長崎への修学旅行を中止した神奈川県の高校が、ビデオカメラで撮影した映像で爆心地の様子などを生徒に紹介する「オンライン修学旅行」を実施しました。
この取り組みを行ったのは神奈川県小田原市にある旭丘高校です。

29日は、校長や教師がビデオカメラとパソコンを持って長崎市の爆心地や被爆した校舎が残る城山小学校などを巡りました。

今回は、被爆者の池田松義さん(82)に同行してもらい、池田さんの体験談を含めて神奈川県にいる生徒たちに映像と音声を送りました。

池田さんは「およそ1500人いた児童のうち、1400人以上が亡くなりました。私は生き残った児童の1人です」と話し、原爆の熱線で鉄筋コンクリート造りの校舎の内部まで焼け焦げた様子を説明していました。

生徒から「今の核兵器の状況についてどう思っていますか」と質問されると、池田さんは「核兵器は絶対なくさないといけない。無関心は最悪です。ぜひ関心を持ってもらいたい」と答えていました。

旭丘高校は、原爆の被害を知り、核兵器廃絶を願う被爆者の思いに触れようと、毎年、修学旅行で長崎市を訪れていて、ことしは35回目になるはずでした。

新型コロナウイルスの感染防止の観点から中止を決めたところ、保護者から「被爆者の話を聞ける機会を設けてほしい」という要望が出て、「オンライン修学旅行」を行うことになったということです。

旭丘高校の水野浩校長は「途切れてしまうことなく、オンラインで、被爆者、被爆地と結べたということで、ほっとしました」と話していました。

また、池田さんは「本当は、実際に現地に来て見てもらうのが一番だが、こうした状況でも、伝えられるということは、非常に便利なものができたと思う」と話していました。

コロナ影響でキャンセル相次ぐ

修学旅行生を被爆地に案内し、原爆の被害について伝える活動をしている「長崎の証言の会」によりますと、今月から11月までに、31校の小中学校や高校から、被爆地の案内の依頼を受けていました。

しかし、新型コロナウイルスの影響で、半数を超える16校がその後、キャンセルしたということです。

中には、当初、ことし春に修学旅行を予定していて、新型コロナウイルスの影響でいったん秋に延期したものの、結局、中止した学校もあったということです。

また、修学旅行生に被爆者が体験を話す活動をしている長崎平和推進協会によりますと、ことし8月から来年3月の申し込みのうち、200件のキャンセルがあったということです。