地価調査 全国の商業地は下落 東京23区の住宅地は上昇

地価調査 全国の商業地は下落 東京23区の住宅地は上昇
ことしの都道府県地価調査が公表され、新型コロナウイルスの影響で全国の商業地の平均は、5年ぶりに下落に転じました。一方で、通勤やテレワークに便利な戸建て住宅の需要で、東京23区の住宅地では上昇しました。
「都道府県地価調査」は、ことし7月1日の時点で都道府県が行った調査を国土交通省がまとめたもので、全国の2万1500余りの地点が対象です。

それによりますと、「住宅地」「商業地」「工業地」などを合わせた全国の土地の価格の平均は、去年を0.6%下回り、3年ぶりに下落に転じました。

内訳をみますと、
▽「商業地」は全国平均でマイナス0.3%と5年ぶりに下落に転じました。

このうち、東京、大阪、名古屋の三大都市圏を除く「地方」の商業地は、外国人観光客の増加を背景にホテルや店舗の需要が高まり、去年、28年ぶりに上昇に転じましたが、新型コロナウイルスの影響でことしはマイナス0.6%となりました。

▽「住宅地」は、全国平均でマイナス0.7%と、去年のマイナス0.1%から下落幅が拡大しました。

「三大都市圏」は平均でマイナス0.3%と7年ぶりに下落に転じ、
「地方」は平均でマイナス0.9%と去年のマイナス0.5%から下落幅が拡大しました。

ただ、「東京23区」に限ると1.4%の上昇で、この背景には、会社から近く、テレワークにも対応できる戸建て住宅の需要が高まっていることがあるとみられます。

▽「工業地」は全国平均でプラス0.2%と3年連続で上昇しました。

外出自粛に伴ういわゆる「巣ごもり」消費でネット通販の利用が拡大する中、大型の物流施設の需要が高まっているためで、新型コロナウイルスの影響は全国的には地価を押し下げる一方で、特定の地域や用途では上昇の要因になっています。

全国の主な上昇地点

すべての用途で、沖縄と北海道の地域が上昇率の上位を占めました。
新型コロナウイルスの影響を受けながらも、国内の観光や街の再開発などで底堅い需要が見込まれることから地価が上昇しています。

【商業地】

全国の商業地で上昇率が最も高かったのは、沖縄県宮古島市平良で、38.9%上昇しました。
観光客や建設作業員などの増加を背景に、店舗やホテルなどの需要が高まっています。

2位は那覇市前島で、34.8%上昇しました。
那覇市のほかの地点と比べて地価が安いことからホテルなどの需要があり、去年よりも上昇幅が拡大しています。

3位は北海道倶知安町北1条西で、32%上昇しました。
世界的なスキーリゾートの「ニセコ地区」で、北海道新幹線の延伸などに伴う利便性向上への期待感があり、上昇しています。

【住宅地】

住宅地で上昇率が最も高かったのは沖縄県宮古島市城辺で、37.3%上昇しました。
ホテルの従業員や建設関係者などによる住宅需要が続いています。

2位は沖縄県糸満市西崎町で、37.3%上昇しました。
那覇市への交通アクセスがよいことなどから住宅需要が高まっていて、8年連続で上昇しています。

3位は北海道倶知安町樺山で29.2%上昇しました。
外国人の転入も多く、観光業や建設業関係者などの宅地需要で値上がりしています。

倶知安町は商業地の上昇率も3位でした。

【工業地】
工業地で上昇率が最も高かったのは沖縄県豊見城市で28.9%上昇しました。
那覇市街や那覇空港へのアクセスがよく、物流施設向けの需要が旺盛で、地価が上昇しています。

全国の最高価格地点

【商業地】
全国の商業地で地価が最も高かったのは、15年連続で東京 中央区銀座2丁目の「明治屋銀座ビル」で、1平方メートル当たり4100万円でした。
高級ブランドの店舗が建ち並ぶ銀座の中央通りに面していて、新型コロナウイルスの影響で外国人観光客をはじめ訪れる人が大きく減少する中、地価は5.1%値下がりし、9年ぶりに下落しました。

【住宅地】
住宅地で最も地価が高かったのは、東京 港区赤坂1丁目で、1平方メートル当たり472万円でした。
周辺の虎ノ門地区の再開発や、徒歩圏内に新たな駅が開業したことで利便性が高まっています。

【工業地】
工業地で地価が最も高かったのは、東京 港区港南5丁目で、1平方メートル当たり56万4000円でした。
高速道路や港へのアクセスがよいため、物流施設としての需要が高く、上昇しています。