東京五輪・パラ簡素化へ 52項目見直しでIOCと組織委が合意

東京五輪・パラ簡素化へ 52項目見直しでIOCと組織委が合意
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東京オリンピック・パラリンピックの簡素化について、IOC=国際オリンピック委員会と大会組織委員会は、52の項目で見直しに合意し、大会関係者の数を少なくとも10%から15%ほど減らすなどして、延期に伴う経費削減を具体的に進めていくことになりました。
東京オリンピックの準備状況を確認するIOCの調整委員会は、2日間の日程を終え、IOCと組織委員会は、延期に伴う追加経費を削減する簡素化について、52の項目で見直すことで合意したと発表しました。

具体的には、競技団体や各国と地域のオリンピック委員会など、大会関係者の数を少なくとも10%から15%ほど減らせる見通しで、これに伴う輸送や飲食などを減らし、経費を削減します。

また、「オリンピックファミリー」と呼ばれる、IOC関係者向けの式典の一部を取りやめます。

さらに競技会場では、選手の関係者用の座席を20%減らすとともに、装飾を30%から40%ほど減らすということです。

一方、聖火リレーの日数やオリンピックで選手村を開く日数は、従来の計画を維持し、運営面での簡素化を図る方針です。

組織委員会は今後、簡素化で削減できる金額を算出し、延期した大会の開催に向けて、経費削減を具体的に進めていくことになります。

聖火リレー日数維持で3月25日スタート

簡素化の項目のうち、聖火リレーはすでに決まっているランナーと実施する121日間の日数を従来どおりとしたうえで、車両の隊列を減らすなどして費用の削減を図る方針で、来年3月25日にスタートする見通しとなりました。

東京オリンピックの聖火リレーは、大会延期による簡素化のため、組織委員会が日数の短縮などを検討していましたが、特に競技が行われない地方から「オリンピックに関わる貴重な機会であり、従来どおり実施してほしい」という意見が多く、今回のIOC調整委員会ですでに決まっている、聖火ランナーと実施する121日間の日数を従来どおりとすることになりました。

これにより聖火リレーは競技スケジュールと同じように、当初の計画の枠組みを維持したまま、日程を1日前倒しし、来年3月25日に福島県をスタートし、121日間をかけて全国を回る見通しとなりました。

一方、簡素化のためリレーの運営本部の車両など隊列の一部の縮小や、リレーの地域で行われる「セレブレーション」と呼ばれる聖火の到着を祝うイベントの装飾や機材の見直し、それにリレーに関わるスタッフの数を見直すなど、日程以外の面で費用の削減を図ることで組織委員会とIOCが合意し、今後、各自治体や協力企業と検討を進めることにしています。

組織委員会は聖火リレーの正式な日程について、来週28日に発表する予定です。

コーツ調整委員長「ポストコロナ時代の大会に」

IOC=国際オリンピック委員会で東京オリンピックの準備状況を監督するコーツ調整委員長は、組織委員会との会議を終えた記者会見にリモートで参加しました。

この中で、コーツ委員長は「組織委員会の計画練り直しの検討に非常に満足している。簡素化や効率化を進める今回の『東京モデル』は、将来の大会組織委員会の参考になると思う」と述べ、組織委員会の簡素化や効率化の取り組みを評価しました。

そのうえで「議論をするのは簡単だが、実行するにはさらなる創意工夫と柔軟性をもって全員で取り組んでいかなければならない。東京オリンピックはポストコロナ時代にふさわしい、新しい大会になると確信している」と述べ、大会の成功に自信を示しました。

組織委 武藤事務総長「聖域は設けない 徹底的に見直す方針」

調整委員会のあとの記者会見で、大会組織委員会の森会長は、IOCと合意した簡素化について「簡素化の真の目的は、人々が新しい日常で生活するなかで、今後のイベントのロールモデルを示すことだ。団結と共生の象徴として、世界に大きな価値をもたらす大会になるよう、引き続き全力を尽くす」と、新たな形での大会の開催に向けて意気込みを述べました。

また、武藤事務総長は「聖域は設けない、徹底的に見直すという方針で、考えられる、あらゆる簡素化を実行していこうと、IOCと知恵を出し合いながら検討してきた。見直しの中身の合意をもとに、どの程度の節約になるのか、これから詰めていく」と述べ、簡素化による経費の削減効果については、来月のIOC理事会までには試算したいとする考えを示しました。

「聖域なし見直し」その内容は

簡素化は、延期で負担が増える大会経費について国民やスポンサー企業などに納得してもらえるよう、「聖域なく見直す」ことが掲げられました。

IOCと組織委員会が合意した項目には、「オリンピックファミリー」と呼ばれる大会主催者であるIOC関係者などへのサービスの見直しにも及び、これまで聖域とされていた対象に踏み込む形となっています。

▽大会に合わせて開かれるIOC総会では、前日に予定していた総会の開会式を中止、
▽宿泊するホテルの500近い部屋で競技を見るため必要だったケーブルテレビを、インターネットでの配信に変更すること、
▽競技会場で飲食の提供を受けるラウンジでは、飲食の数を精査し、メニューも簡素なものにしたうえで、部屋の中の装飾を半分近く削減するなどとしています。

大会を象徴する開会式、閉会式についても、オリンピックファミリーなどに向けたチケットを削減し、式典の企画も簡素化を検討していくことになっています。

また、削減が見通せる「大会関係者」とは、IOCやIPC=国際パラリンピック委員会、各競技団体と各国と地域のオリンピック委員会やパラリンピック委員会、それにメディアなどのことで、オリンピックでは対象者はおよそ5万人になると見込まれています。

この大会関係者の数を10%から15%ほど減らせる見通しに伴っては、
▽空港から宿泊するホテルまでの交通費や、
▽会場で使用する机やイス、冷蔵庫といった備品、
▽飲食の数、
▽スマートフォンやパソコンなどの機器の数、
▽高速道路や公共交通機関の利用料金なども削減されます。

このほか、競技会場周辺の看板やのぼりなど「ルック」と呼ばれる装飾については、▽観客席周辺のカメラに映らないところを見直して、およそ30%削減、▽競技会場の大型ののぼりはおよそ40%削減するとしています。

会場の仮設施設を見直す項目については、▽2つの競技会場で、チケット販売に影響しない仮設の観客スタンドを無くすこと、▽24の会場で、屋外や練習会場などの照明を削減する予定です。

一方、組織委員会は、今回の簡素化は、大会の骨格である競技や選手の数は維持することを前提としており、そのうえで、IOCが契約しているものは組織委員会では変更できず、また、延期決定の時点で大会まで4か月と迫っていたため契約上、見直せないものもある状況だったとしています。

記者会見で簡素化の成果について問われた組織委員会の森会長は、「簡素化の努力は大会までまだまだ続く。およそ50項目の受け止め方は、その人の立場によって感想は異なるのではないか」と述べました。

簡素化について合意された「52項目」とは

組織委員会とIOCが、大会の簡素化について合意した52項目です。

大きく分けて4つに分類されます。

まず、大会関係者の人数とサービスの合理化についての項目です。

▽大会関係者の人数、
▽大会関係者が使用する空港からホテル間の交通機関の料金、
▽大会関係者が使用する家具・じゅう器・備品などの数量、
▽大会関係者向けのパソコンやスマートフォンなどテクノロジー機器の調達および保守、
▽大会関係者の飲食提供数、
▽IOC総会の開会式などのオリンピックファミリーに係るイベント・レセプションなど
▽オリンピックファミリーのホテルなどにおける競技映像の提供の方法、
▽IOCがゲストをもてなす施設のオリンピッククラブの運用、
▽オリンピックファミリーとパラリンピックファミリーのラウンジ設備と運用、
▽IFラウンジの設備と運用、
▽遠隔地からの記事作成を可能にするリモートレポート、
▽NOC・NPC選手団団長セミナーの実施方法、
▽選手団登録手続きの効率化、
▽選手村における航空会社搭乗手続きのための設備と運用、
▽選手村内におけるハウスキーピングなどのサービス、
それに、
▽NOC・NPCに対する各種サービスの合わせて16項目です。

次に、会場や施設、輸送サービスに関する項目です。

▽照明や観客席など会場における仮設オーバーレイなどの仕様、サービスレベル、
▽関係者用の座席数、
▽会場の使用期間、
▽競技運営における仮設構築物、
▽メインプレスセンターの運営期間、
▽選手村の運営期間、
▽練習会場の使用期間など、
▽身分証明書などを渡すユニフォームアクレディテーションセンターの施設計画、運用、
▽組織委員会のオフィススペース、
▽会場で使用する電力供給機器、通信ネットワーク、
▽放送事業者が使用する電力供給機器、
▽放送用コンパウンド、ビューティーカメラ、
▽組織委員会スタッフ向けのITサービス、
▽大会用ITサービスの運用体制、
▽バススケジュールなどの輸送サービス、
▽搬入物資のチェックを行う物資検査場の数、
▽大会関係者への出入国サービス、
▽各空港へ設置するアクレディテーションカウンターの運営期間、
▽大会関係者への公共交通無償化、
それに、
▽大会関係車両の高速道路利用料金の合わせて20項目です。

3つ目はイベントなど機運醸成に関する項目です。

▽開会式・閉会式の当日のオペレーション、
▽聖火リレーの期間・実施方法、
▽選手団の選手村の入村式、
▽スモークなどで演出をするスポーツプレゼンテーション、
▽会場内での競技体験などのプログラム、
▽会場の外でも中継などを見ることができるライブサイト、
▽組織委員会が「トーキョーウォーターフロントシティ」と位置づける台場や有明などでのイベント、
▽日本の文化をPRする東京2020NIPPONフェスティバル、
▽競技会場、選手村などの看板やのぼりといった「ルック」、
▽シティドレッシング、スペクタキュラーなど都市装飾、
それに
▽既存広告の撤去などクリーンベニュー対策の範囲の合わせて11項目です。

最後は、収入関連などの項目です。

▽スポンサー企業への追加協賛金の要請など収入関係、
▽組織委員会スタッフの要員計画、
▽テストイベントと演習セキュリティ、
それに
▽その他の5項目となっています。

(注釈)
IF =国際競技団体
NOC=各国と地域のオリンピック委員会
NPC=各国と地域のパラリンピック委員会