「東京ゲームショウ」初のオンライン開催 祭典はどう変わった

「東京ゲームショウ」初のオンライン開催 祭典はどう変わった
世界有数のゲームの展示会「東京ゲームショウ」が始まりました。ことしは感染拡大を防ぐため初めてオンラインで開催され、例年多くの人でにぎわうゲームの祭典も様変わりしています。
ことしの東京ゲームショウは24日夜、ネット上でゲームソフトを紹介する動画の配信がスタートし、開幕しました。

東京ゲームショウは例年、千葉市の幕張メッセを会場に国内外から多くの企業や団体が参加し、去年は26万人以上が訪れた、世界有数のゲームの祭典です。

しかし、今回は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、会場での展示を取りやめ、主催する団体が動画を配信する形になりました。

一般向けには27日までの4日間、ゲームメーカーなど合わせて33社が1時間から2時間ほどの動画を順番に配信して、新しいソフトなどを紹介します。

動画を見た人が気に入ったソフトや商品を、ネット通販を通じてすぐに購入することもできるということです。

主催する団体の田辺太陽事務局長は「オンラインの良さとして、今まで会場から遠くて来ることができなかった人や海外の人が気軽に楽しめることがある。自宅にいる時間が増えて、新たにゲームに触れる人との相性もいいと思う」と話していました。

東京ゲームショウは27日まで開かれています。

ことしのゲーム業界 市場拡大見込まれる

ことしのゲーム業界は、新型コロナウイルスの影響を受ける中でも、自宅で過ごす人のいわゆる巣ごもり需要を背景に市場の拡大が見込まれています。

世界的に人気を集めているのが、ゲーム中の仮想空間で他のプレーヤーと交流できるソフトで、このうち任天堂の「あつまれ どうぶつの森」はことし6月までの3か月で世界で2240万本が売れる記録的なヒットとなっています。

このソフトが利用できるゲーム機「ニンテンドースイッチ」も好調な売れ行きが続き、任天堂の業績はことし6月までの3か月間の最終利益が去年の同じ時期と比べ6.4倍に増えました。

こうした中、ことし11月には主要なメーカーが新型のゲーム機を相次いで発売します。

このうち、ソニーは7年ぶりの新型となる「プレイステーション5」を発売します。

より鮮明な8Kの画質に対応しているほか、ソフトをダウンロード専用とする代わりに価格を抑えた機種が用意されました。

店頭でソフトを買う人が減り、ダウンロードする人が増えている動きに対応しています。

また、アメリカのマイクロソフトもゲーム機「Xbox」の新しいモデルを7年ぶりに発売します。処理速度が速いことが特徴だとしています。

新型ゲーム機が相次いで投入されることで、ことしのゲーム市場は年末商戦に向けて競争が一段と熱を帯びそうです。

専門家「日常とデジタルつなぐソフトが需要伸ばす」

ゲーム業界に詳しい野村證券の山村淳子アナリストは、新型コロナウイルスの感染拡大後に売れているゲームの特徴について、「分かりやすい例が『あつまれ どうぶつの森』で、友達とカフェでコミュニケーションをとるなどゲームの中に日常が入っている。日常とデジタルの境界線をつなぐソフトが大きく需要を伸ばしている」と分析しています。

また山村氏は、ゲーム市場が好調な背景に、ソフトをダウンロードし、ネットで購入できるようにしたデジタル化があるとして、「メーカー側はデジタルで売れば在庫リスクも限定的で、例えば、新作発売に合わせて旧作を売ることもできる。また、ユーザーに直接売るため、需要に合わせて価格も柔軟に調整できる」と指摘しています。