国連総会 一般討論演説 米中対立に各国から影響懸念の声

国連総会で各国の首脳による演説が始まりましたが、新型コロナウイルスへの対応などをめぐるアメリカと中国の根深い対立が浮き彫りになりました。
ウイルス対策をめぐって国際協力が求められる中、各国からは影響を懸念する声が上がっています。
国連総会は22日、各国の首脳らによる一般討論演説が始まり、新型コロナウイルスの感染対策として、事前に収録されたビデオを流す形式で行われました。

初日は、アメリカのトランプ大統領や中国の習近平国家主席など33人の国家元首が演説し、トランプ大統領が新型コロナウイルスへの対応をめぐって中国を名指しして非難したのに対し、習近平国家主席は「中国に汚名を着せている」などと反発し、両国の根深い対立が浮き彫りになりました。
こうした状況に、各国からは懸念の声が相次ぎました。

フランスのマクロン大統領は「アメリカと中国という大国にどれだけ影響力があっても、世界がこの2か国の対立の縮図になってはならない」と述べ、地球規模の課題の解決が難しくなるという認識を示しました。
また、フィリピンのドゥテルテ大統領も「新型コロナウイルス対策で安定と信頼が必要なときに地政学的な対立が深まっている。緊張は誰の利益にもならない。2頭の象が戦うとき、踏みつけられるのは足元の草だ」と述べ、ウイルス対策に向けた国際協力に影響が出るおそれがあるとし、米中関係の動向を各国が注視していることをうかがわせました。

中国「断固として反対する」 トランプ大統領の激しい非難に

22日から始まった国連総会の各国首脳らによる一般討論演説で、アメリカのトランプ大統領が新型コロナウイルスの感染拡大の責任は中国にあると激しく非難したことについて、中国外務省の汪文斌報道官は23日の記者会見で「アメリカは国連の場を利用して事実を無視してうそをでっちあげ、政治的な目的のために中国に対して理不尽な非難や中傷を行っており、中国は断固として反対する」と強く反発しました。

そのうえで「アメリカは中国を繰り返し非難し、新型コロナウイルス対策でのみずからの責任を他人のせいにしようとしているが、それは徒労に終わるだろう。アメリカは政治ゲームや単独主義をやめ世界のために責任を果たすよう忠告する」と述べました。