院内感染防止が課題 「医療の安全」考えるシンポジウム

院内感染防止が課題 「医療の安全」考えるシンポジウム
医療機関で新型コロナウイルスが広がると、入院患者が重症化し、亡くなるケースもあるため、院内感染の防止が大きな課題になっています。感染が続く中での医療の安全について考えるシンポジウムが開かれ、専門家が、基本的な感染対策と院内での情報共有を徹底することが必要だと訴えました。
シンポジウムは、「医療の質・安全学会」が東京都内で開き、オンラインも含めて250人余りが参加しました。

この中で、国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長は、これまでのクラスターの事例を振り返り、「クラスターの発生は飲食店や職場などよりも医療機関内が多い。

患者の命を守るために、医療従事者一人一人が、感染対策に向き合わなければならない」と訴えました。

続いて、医療安全が専門の名古屋大学附属病院の長尾能雅教授が、病院内で、新型コロナウイルスに関して事故につながりかねない小さなミスなどが先月までに128件あったと報告しました。

中には、患者が感染しているおそれがあることを知らず、対策が不十分なまま診察や検査が行われたり、患者の治療中に装置にトラブルが起きたりしたケースもあったということで、長尾教授は、「非常事態でも患者安全をおろそかにせず、すべての職種間での情報共有を徹底すべきだ」と強調しました。

シンポジウムではこの後、各地の病院の担当者らが実例や取り組みを報告し、学会では院内感染を防ぐ取り組みなどを共有していくことにしています。