シンガポールとの往来再開 短期滞在者対象は初 歓迎の声も

シンガポールとの往来再開 短期滞在者対象は初 歓迎の声も
新型コロナウイルスの水際対策をめぐり、18日からシンガポールとの間で、入国制限措置が緩和され、出張などの短期滞在者の往来が再開しました。短期滞在者が対象となるのは初めてで、成田空港を利用するビジネス関係者からは出張ができるようになると歓迎する声が聞かれました。
新型コロナウイルスに伴う各国の水際対策の影響で、国際線の利用者は大幅に減少していて、成田空港は18日も閑散としていました。

政府は、感染が落ち着いている国や地域からの入国を段階的に認めて、落ち込んでいる経済の回復につなげていく方針で、18日からシンガポールとの間で入国制限措置を緩和し、出張などの短期滞在者の往来が再開しました。

短期滞在者が対象となるのは初めてで、訪問場所などを記入した「活動計画書」の事前提出など一定の条件のもとで、これまで求められていた入国後の14日間の待機措置は免除されます。

18日夕方、成田空港からシンガポールに向かう便に搭乗した建設会社に勤める50代の男性は「今回の緩和で、日本に帰国した際の待機措置がなくなるので、仕事のローテーションが楽になるので助かります」と話していました。
その一方で、「緩和が進むことで新型コロナウイルスの感染が再び拡大しないか不安もあります」と話していました。

政府は、今後、空港でのPCR検査の体制を拡充するなど感染防止策の充実を図りながら、短期滞在者と長期滞在者の双方を対象に順次、制限の緩和を進める方針です。

短期滞在者の往来の枠組み

外務省によりますと、今回、シンガポールとの間で行われる入国の制限の緩和は、一定の条件のもとで、出張などの短期滞在者の往来が認められる初めての枠組みです。

日本からシンガポールに向かう場合、事前にPCR検査の証明の取得や、入国後14日間の「行動計画」の登録などが求められます。

そして、入国する際、現地の空港でPCR検査を受け、結果が判明するまで1日から2日間ホテルなどで待機が求められるほか、入国後も、シンガポール政府が提供する感染者との接触の有無が分かるスマートフォンのアプリを使用する必要があります。

一方、日本に帰国する際は、事前に訪問場所などを記入した「活動計画書」の提出が求められるほか、空港でウイルス検査を受ける必要があります。

また、帰国後14日間は公共交通機関を使わないことなどを求められますが、これまで条件とされていた自宅やホテルなどでの待機は免除されました。

現地法人を置く会社 期待と課題も

出張などの短期滞在者の往来が再開したシンガポールに現地法人を置く千葉市の警備会社は、海外での活動再開に向けた期待の一方で、事前にさまざまな届け出が求められることなど課題もあるとしています。

千葉市に本社がある警備会社「協和警備保障」は、シンガポールに現地法人を置き、日系企業の工場などの警備業務を請け負っていて、月に2回ほど役員が出張で現地に出向き、現地法人の業務の確認や営業活動を行っていました。

しかし、ことし3月に新型コロナウイルスの感染拡大に伴う入国制限措置が行われて以降、シンガポールへの出張ができなくなり、会社では頭を悩ませていました。

往来の再開について、「協和警備保障」の道添宏樹企画管理本部長は「サービスの質を保つためには日本から出張で出向き、現地スタッフとコミュニケーションをとる必要があるので、往来の再開は会社にとって大きいです」と期待していました。

一方で、日本から出国する前にPCR検査の結果の証明や、現地での「行動計画」を登録することが求められることについて、「これまでのように頻繁に出張に行くことは難しいと思う。また、現地の顧客が海を越えてやってきた人と会うことをまだ、不安に思っているのではないかということも気になります」と課題も指摘していました。