日産ゴーン元会長事件 ケリー元代表取締役 初公判で無罪主張

日産ゴーン元会長事件 ケリー元代表取締役 初公判で無罪主張
日産自動車のカルロス・ゴーン元会長の共犯として元会長の報酬を有価証券報告書に少なく記載した罪に問われているグレッグ・ケリー元代表取締役は、東京地方裁判所で開かれた初公判で無罪を主張しました。
一方、法人としての日産は起訴された内容を認めました。
日産の元代表取締役、グレッグ・ケリー被告(64)は、中東のレバノンに逃亡した元会長、カルロス・ゴーン容疑者(66)と共謀し、平成29年度までの8年間、元会長の報酬を有価証券報告書に合わせて91億円余り少なく記載したとして、法人としての日産とともに金融商品取引法違反の罪に問われています。

東京地方裁判所で開かれた初公判で、ケリー元代表取締役は「検察官が主張する起訴内容を否認する。犯罪の共謀に関与していない」と述べ、無罪を主張しました。そのうえで「ゴーン元会長の報酬は他社よりもはるかに低く、日産を離れるリスクがあるのが日産経営陣の懸念事項だった。ゴーン元会長をつなぎ止めるため、報酬を支払う方法を検討し、合法的な方法があるかを探った」と主張しました。

一方、日産は起訴された内容を認めました。

検察側は冒頭陳述で「役員報酬を開示する制度が導入され、ゴーン元会長は開示される報酬を10億円未満に抑える方法をケリー元代表取締役と検討した。ケリー元代表取締役の役割は元会長に支払われていない未払いの報酬が開示されるのを避けつつ、確実に支払う方法を検討し、支払い準備を進めることだった」と述べました。

弁護側は「未払いの報酬を支払うという合意が、そもそもゴーン元会長と日産との間で有効に成立していない。仮に合意があったとしても虚偽記載ではなく、刑事罰の対象にならない」と主張しました。

日本で一連の事件の裁判が開かれるのは初めてです。

ゴーン元会長が海外に逃亡し不在となる中、世界に衝撃を与えた事件の真相がどこまで明らかになるか、審理の行方が注目されます。

ゴーン元会長が起訴された4つの事件

《報酬の過少記載》
1つは15日裁判が始まった報酬の過少記載の事件。
ケリー元代表取締役と共謀し、平成29年度までの8年間、みずからの報酬を有価証券報告書に合わせて91億円余り少なく記載したとして金融商品取引法違反の罪に問われています。

《私的損失の付け替え》
このほかゴーン元会長は、日産の資金を不正に支出させるなどした、3つの事件で特別背任の罪に問われています。
12年前のリーマンショックで、18億円余りの含み損を抱えた私的な為替取引の権利を日産に付け替えたとされる事件。

《サウジアラビアへの不正支出》
この損失の信用保証に協力したサウジアラビア人の実業家の会社に、日産の子会社から12億8000万円を不正に支出させたとされる事件。

《オマーンの販売代理店を通じた資金の還流》
そして、日産からオマーンの販売代理店に支出させた資金の一部を、みずからが実質的に保有するレバノンのペーパーカンパニーに還流させ、5億5000万円余りの損害を与えたとされる事件です。

日産「真実が裁判所で明らかになること期待」

グレッグ・ケリー元代表取締役の15日の初公判について日産は、「社内調査により固めた確実な証拠を基に、重大な不正があったことを確認している。今後、審理を通じて一連の不正行為に関する真実が裁判所の判決により、明示されるものと期待している」とするコメントを発表しました。

一方、法人としての日産も起訴されたことについては、「極めて重く受け止めている。指名委員会等設置会社に移行し、ガバナンスの改善を進めるとともに、ゴーン氏に対する損害賠償を求める訴えも起こしている。今後もコンプライアンスを順守した事業運営に努めていく」としています。

岡田官房副長官「ゴーン元会長の引き渡し 協力求めている」

岡田官房副長官は記者会見で、日産自動車のカルロス・ゴーン元会長の身柄の引き渡しに関するレバノン政府との交渉について「個別事件における具体的な捜査や公判に関わることであり、答えは差し控えたいが、ゴーン被告が日本の裁判所で裁判を受けるのは当然のことだという考えをレバノン政府に伝え、必要な協力を求めている。わが国の刑事手続きが適正に行われるよう、引き渡し交渉に取り組みたい」と述べました。