テニス大坂なおみ 全米オープン決勝へ 黒いマスクに込めた思い

テニス大坂なおみ 全米オープン決勝へ 黒いマスクに込めた思い
テニスの4大大会の1つ、全米オープンで2年ぶり2回目の決勝進出を決めた大坂なおみ選手。
大会を通して人種差別への抗議として事件に巻き込まれ亡くなった黒人男性や女性の名前が入った黒いマスクをしてきました。黒いマスクへの思いとは。

人種差別への抗議の姿勢 SNSで発信も

ハイチ出身の父と日本人の母を持つ大坂選手は、これまでも人種差別への抗議の姿勢を自身のSNSを通じて発信してきました。

アメリカを中心に活発化する抗議活動に合わせてその抗議の背景などに対してより深い理解を求める投稿や、黒一色の画面で抗議の意志を示すなどその形はさまざまでした。

さらに先月の全米オープンの前哨戦では黒人の男性が警察官に背後から撃たれたことへの抗議として一時、大会のボイコットを表明しました。

この際、大坂選手はメッセージを発表し「私は1人の黒人女性です」としたうえで、「私がプレーをしないことで、何か劇的に変わることはないと思いますが、白人の人たちが多いスポーツの中で、いろいろな議論ができればそれが正しい方向への1歩だと感じています」としました。

抗議の黒いマスク7枚を準備

こうした中、迎えた全米オープンで大坂選手はすべての試合で事件に巻き込まれて亡くなった黒人男性や女性の名前が入った黒いマスクを着用することで抗議の意志を示しています。

1回戦を終えた直後のインタビューでは決勝まで進んだ場合を想定して合わせて7枚の同様のマスクを用意したとして、そのすべてを着けることがモチベーションになっていることを明かしました。

▽1回戦のマスクに書かれていた名前はブリオナ・テイラーさん。
ことし3月、ケンタッキー州の自宅にいたところ突入してきた警察官に撃たれて亡くなった女性です。

▽2回戦のエリジャ・マクレーンさんは去年8月にコロラド州で警察官に拘束されたあと亡くなった男性。

▽3回戦のアマード・アーベリーさんは、ことし2月にジョージア州でジョギング中に白人の親子に射殺された男性です。

▽4回戦はトレイボン・マーティンさん。
2012年、当時、17歳の高校生でしたが、自警団の男性にフロリダ州で射殺されました。

彼の死後、警察の捜査の遅れや射殺した男性が無罪となったことなどから「BLACK LIVES MATTER」。「黒人の命も大切」という一連の抗議活動が広まりました。

マーティンさんの母親は大会期間中、大坂選手に感謝を伝えるメッセージを送り、これに対して大坂選手は「自分は意識を広めるための器。家族失った痛みが無くなるとは思わないが、遺族が必要とすることは何でも手伝いたい」と応じました。

そして、
▽準々決勝はジョージ・フロイドさん。
ことし5月にミネソタ州で白人の警察官に首を押さえられ死亡しました。
その一部始終が撮影された映像が報道やSNSなどで拡散すると人種差別への抗議活動は全米だけでなく世界中に広がりました。

▽準決勝のマスクに書かれたフィランド・キャスティルさんは、4年前にミネソタ州で警察官に射殺された男性でした。

黒いマスクを通じて「この問題をもっと多くの人に知ってほしい」という大坂選手の行動は、海外メディアでも取り上げられるなど高い関心を集めました。

大坂選手は、決勝進出を決めたあと、「世界中から反響があり、事の重大さを伝えられていることが分かってよかった。遺族からメッセージを受け取ったときはとても感動したし、皆さんに私の声が届いていると思いうれしかった」と話しています。