”マスク着用拒否で威嚇” 臨時着陸 航空会社などの見解は

”マスク着用拒否で威嚇” 臨時着陸 航空会社などの見解は
7日、マスクの着用を拒否した男性が、客室乗務員や乗客を威嚇したとして、目的地とは別の空港に降ろされるトラブルがありました。
SNSでは、「1人の身勝手な行動が周囲にどれだけ迷惑を掛けることになるか考えて」などの賛成の声もある一方、「やりすぎだよ。飛行機は換気も徹底されているのに…」「マスクを拒否したくらいで臨時着陸とかありえない」など、マスクの着用をめぐる疑問が出ています。
一連のトラブルをめぐって、大手航空会社やほかの公共交通機関、国交省の見解を取材しました。

旅客機から降ろされた理由はマスクを着用しなかったからではない

今回、男性が途中で飛行機から降ろされることになったのは、航空会社によりますとマスクを着用しなかったからではなく、男性が機内で大声を上げたり客室乗務員の腕をつかむなどして機長が安全を阻害する行為と判断したからでした。

出発前、客室乗務員は男性にマスクの着用を求めたところ応じてもらえず、ほかの乗客と離れた席に移動を求めても応じてもらえなかったということです。

このためほかの乗客に別の席に移動してもらって、男性はマスクを着用しないまま離陸しました。

ガイドラインに基づく対応

そもそも、このマスクの着用を要請する対応は、航空各社や空港ビルなどで作る団体が国の専門家会議の提言を元に、ことし5月にまとめたガイドラインに基づくものです。

この中には、感染予防の取り組みとして機内の乗客に会話をなるべく控えることを呼びかけるとともに、マスクの着用を要請することと記されています。

ただし書きもあって、幼児および着用が難しい理由のある場合は着用を要請しなくてよいと記されています。

航空各社の取り組み

航空各社ではガイドラインに基づいて、さまざまな感染予防の取り組みを実施しています。

大手航空会社の全日空では、まず空港のチェックインカウンターや保安検査場の入り口にポスターを掲示してマスクの着用を呼びかけています。

着用していない人には事情がある場合もあるとして、係員が直接声をかけて説明しているということです。

当初は、「なぜそこまでするのか」「義務なのか」という疑問の声もあったということですが今ではほとんどの人が着用に応じているそうです。

乳幼児を含む小さい子どもや、病気や障害など事情があってマスクの着用が難しい人にはフェイスシールドの着用をお願いしたり、ほかの乗客と離れた席に案内したりして、これまで大きなトラブルは起きていないということです。
空港センター旅客サービス部の安西淳平さんは、「健康上の理由などでマスクを着用できない場合は臨機応変に対応しています。まずは気軽に係員に相談してください」と話していました。

空港でもマスクの着用を

マスクの着用は機内だけではなく、空港の中でも求められています。

羽田空港のターミナルビルの運営会社「日本空港ビルデング」によりますと、空港内ではマスクの着用への協力を求めていて、着用していない利用者を見かけた場合、職員が着用をお願いしているということです。

さらに、7月から出発や到着のロビーの目立つ場所にマスクの自動販売機を設置し、空港内の店が営業していない早朝や夜間の時間帯でも、マスクを購入できるようにしています。

これまでのところトラブルになった事例は把握していないということです。

ほかの公共交通機関は

ほかの公共交通機関も同様です。

JR東日本では、駅の改札に設置しているディスプレイで4か国語でマスクの着用に協力を求める表示を出したり、車内や駅の構内放送で感染予防の取り組みに協力を求めたりしています。

詳しい内容は、国土交通省の鉄道局のホームページにも出ています。